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鳥取・フェルナンジーニョの“師匠”。
「ミヤモトサン、スゴイデス」 

text by

石倉利英

石倉利英Toshihide Ishikura

PROFILE

photograph byJ.LEAGUE

posted2018/05/26 17:00

鳥取・フェルナンジーニョの“師匠”。「ミヤモトサン、スゴイデス」<Number Web> photograph by J.LEAGUE

キャリアの半分以上を日本で過ごすフェルナンジーニョは、人格もあいまって鳥取ではキャプテンに指名されている。

日本についての師匠だった宮本恒靖。

 そんなフェルナンジーニョに「これまで日本でプレーしてきて、一番すごいと思った選手は?」と聞いた。質問を聞き終えると同時に日本語で即答したのは、かつてのチームメイトの名前だった。

「ミヤモトサン。スゴイデス」

 日本での最初のクラブ、G大阪で守備の中心となっていた宮本恒靖だ。'05年のJ1最終節、初優勝を決めた川崎F戦では、フェルナンジーニョのFKを宮本がヘッドで合わせ、勝ち越しの2点目が生まれている。

「すべての選手から尊敬されている、優れた人格の持ち主だった。その上で試合になれば、闘志を全面に出してプレーする。素晴らしい選手だったよ」

 4歳年上の頼れるチームメイトは、日本語の『師匠』でもあった。

「ガンバでの1年目、まだ日本のことを何も知らなかったとき、試合前日にホテルでの夕食が終わったあと、ミヤモトサンが日本語や、いろいろなことを教えてくれた。いつも1時間くらいは話していたね」

 日本語だけでなく、日本人の気質についても教わったという。

「『日本がリスペクトを大切にすることを学べば、もっと日本の文化になじめるし、良いプレーができるよ』と教えてくれたんだ」

理解に時間がかかった「年功序列」。

 当初、日本人のリスペクトの形には戸惑うこともあった。特に理解するのに時間がかかったのが、『年功序列』の意識だ。

「両親から『年上の人には敬意を払いなさい』と教えられてきたけれど、それは年上に限らず、年下の人や子どもに対しても同じ。でも日本では、年上の人に特に敬意を払うけれど、そこに尊敬だけでなく、おびえのようなものを感じることに、ずっと違和感があった」

 そうした気質を理解しつつ、サッカーをプレーする上では障害になりかねない『遠慮』を取り除く努力をしてきた。

【次ページ】 誰とでも腹を割って話すのがリスペクト。

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