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長谷部誠も苦笑するしかない現状。
5月までに代表メンバーができること。
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph byGetty Images
posted2018/04/03 12:00
3月のマリ戦、ウクライナ戦では、奮闘したものの長谷部自身も手痛いボールロストやミスパスなど精彩を欠く場面があった。
大人のコメントだが、表情は苦笑い。
「間違いなく感じているのは個々のレベルアップの必要性。これまでも言ってきたがあらためて厳しい現実を突きつけられた」
そう言いながら顔をゆがめたのが印象的だった。個のレベルアップはこれまでずっと言われ続けてきたことで、どう考えてもこの3カ月で大きく変化するものではないだろう。だが、そう言葉をチョイスするしかない現状の難しさ。そのことは表情から感じ取れた。
またウクライナ戦前に、ハリルホジッチ監督が会見で「内情が外に漏れている」という主旨の発言をし、それを受けたコメントを記者陣に求められた時もそうだった。
「みんな代表選手だし、考え方は人それぞれ」
極めて大人のコメントを返していたが、表情は苦笑い。隠しきれないのだ。
とはいえ、反省点ばかりを振り返ってもらい続けるわけにもいかず、この3月シリーズから、何かつかんで次につなげなくてはならない。
その都度レベルを取り戻しているようでは。
厳しい2試合を経て、あえて次につながるポジティブな要素はなかったのか。こう聞いてみると、今度はうーんと考えながら真顔で話を始めた。
「このウクライナ戦に向けて、マリ戦からピッチ外でもコミュニケーションの部分で、若い選手たちから発言が出てきたっていうのはある。でも欧州組が合流する代表は11月以来、4カ月ぶり。こうやって長い間活動の間隔が空いて、正直その都度レベルを取り戻していく感じでは困る。毎回、積み重ねていかないといけない。
もちろんこれだけメンバーが替わっていて、監督がまだトライしている部分もあると思う。だからこそ、僕ら経験ある選手が若い選手たちにも伝えていかないと。そこは、5月に誰が選ばれるか分からないけど、その時にまた下から詰み直すのではなく、ここから積み上げたところから考えないと」
長谷部はマリ戦、ウクライナ戦で失点に絡んだ場面もあった。批判的に見る向きもあるだろう。ただ、長谷部以外の選手を起用することで中盤が機能するのかと言えば、想像しづらい。
長谷部は日本代表のキャプテンであると同時に、戦術的にもピッチ上で外せない存在だ。実際、ハリルホジッチ監督の中で当確とされている数少ない選手だろう。ただ、その長谷部が諦観に近い苦笑いを浮かべているようでは、結果も見えている。
次の代表招集までにできること。長谷部をはじめ選手一人ひとりがリーグ戦に集中すること以外にない。