【NSBC補講I】 池田純のスポーツビジネス補講BACK NUMBER
日本シリーズの価値を実感した6日間。
思い出す、横浜スタジアム買収の苦心。
posted2017/11/12 11:30
text by
池田純Jun Ikeda
photograph by
Naoya Sanuki
今年の日本シリーズ、福岡ソフトバンクホークスと横浜DeNAベイスターズの戦いが終わりました。実をいうと、私が球団社長を務めていたころは、それほど日本シリーズには魅力を感じていませんでした。基本はシーズンの144試合。1試合1試合を積み重ねた優勝こそ、ファンの方に喜んでいただけるものだと思っていたのです。
しかし、今回の日本シリーズでその考えを覆されました。
日本シリーズの戦いはファンに大きな喜びをもたらし、予想を上回る経済効果を生み出しました。そして、街に活力を生み出したのです。
スカウトの方から「横浜の街が大騒ぎです。良いチームになりましたね」というメッセージをいただきました。彼はホームゲームではなく、パブリックビューイングを行っている横浜スタジアムの側を通り、盛り上がりを実感したそうです。
スタジアム買収で一体経営が実現して本当に良かった。
このメッセージをもらったことで、横浜スタジアムを買収し、一体経営が実現できて本当によかったとあらためて感じました。
あらゆるしがらみを乗り越えたために、現在は球団の一存によってイベントを開催できます。さらに、オリジナル醸造ビールである「ベイスターズ・ラガー」、「ベイスターズ・エール」を作り、食事の質を高めることで、野球に詳しくないお客さんにも楽しんでもらえる工夫をしました。
球場買収を打ち出したとき、始めは「無理だ」という意見が大多数でした。