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Vリーグは「ビジネス化」できるか。
動き出した観客・広告の二本柱。
posted2017/10/31 11:00
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph by
Kyodo News
木村沙織が引退し、柳田将洋はドイツ・ブンデスリーガへと移籍。越川優と石島雄介はビーチバレーボールに転向した。一気に人気選手を失った感があるV・プレミアリーグは今年、どんな開幕を迎えたのだろうか。
10月21日、仙台でV・プレミアリーグ女子大会が、東京ではV・プレミアリーグ男子大会が開幕した。昨シーズンの開幕戦とは会場の規模が違うために、単純な比較はできないが、男子大会は初戦のJTサンダーズ対サントリーサンバーズ戦で4100人の観客を集め、2階席もほぼ埋まった状態だった。会場の盛り上がりを見る限りは、今のところ大きな影響は受けていないように感じる。
開幕前の記者会見で、Vリーグ機構の嶋岡健治会長はこう語っていた。
「人気選手の引退や移籍が大きなマイナスとなるかどうかは、やってみなければわかりません。しかし試合会場でのファンサービスなど、動員の減少を食い止めるにはどうしたらいいのかという話は、スーパーリーグのコンセプトを発表した時点で各チームに具体的にお願いしている。今シーズンから、みんなそういう意識でやってくれていると期待しています」
昨年の9月、一度は潰れたスーパーリーグ構想。
嶋岡会長の指す「スーパーリーグのコンセプト」とは、今年5月に発表された「Vリーグ再生宣言・スーパーリーグ構想」のことである。
「バレーボールのスポーツビジネス化」という方針を主軸に来シーズンからチーム数、ホームゲーム数を増やし、リーグ組織を再編。ライセンス制度を採り入れ、ジュニアチームやファンクラブの保有、地域との連携などの条件を満たしたチームだけが参加できる仕組みを作るという。
そもそも最初にスーパーリーグ構想が持ち上がったのは、昨年の9月のことだった。Vリーグ機構は各チームを親会社から分社して法人化し、完全ホーム&アウェイ制で将来的にリーグをプロ化すると発表した。しかも賛同するチームには発表から2カ月後の11月までに参加表明をしてほしいという内容に、多くのチームから反対の声が上がった。無理はない。チームにとっては急な話だったからだ。