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Vリーグは「ビジネス化」できるか。
動き出した観客・広告の二本柱。 

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市川忍

市川忍Shinobu Ichikawa

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photograph byKyodo News

posted2017/10/31 11:00

Vリーグは「ビジネス化」できるか。動き出した観客・広告の二本柱。<Number Web> photograph by Kyodo News

2018年秋の開幕を目指す新リーグ「スーパーリーグ構想」は、1部が男子10チーム、女子12チームと現在のプレミアリーグの男女各8チームから増える。

「他競技同様、来るべきときが来た」

 あるチーム関係者は語る。

「騒然となりましたね。会社からは『そんな動きがあるなら教えてほしかった』と言われましたが、わたしたちも全く何も知らされていなかった。チームを法人化するなどという決定は、所有であれ支援であれ、企業がたった2カ月で下せるような簡単な決断ではありません。しかも提示された案件には具体的な記述は一切なく、シミュレーションもしていない。もっと時間をかけなければいけない問題なのではないかという話になりました。一方で、いよいよ他競技同様、来るべきときが来たという気持ちにもなりました」

 結局、設けられた期限までに手を挙げるチームは期待した数に満たず、一旦は断念。その後細部を考え直し、今年5月の発表に至ったのである。

 5月に表明された計画によれば、今年の6月より小委員会を立ち上げ、運用や規約などの改定案を検討する。来年2月までにその規約を確定し、その後、理事会での承認を得る予定だという。

柳田将洋が抜けたサントリーの危機感。

 では各チームはスーパーリーグのスタートへ向けてどのような準備を始めているのだろうか。

 柳田がドイツへと移籍し、チームを去ったサントリーサンバーズの佐別當賢治広報担当は言う。

「危機感はありますね。柳田選手の人気でたくさんの方に試合に来ていただいていたのは事実なので、正直今シーズンは何か仕掛けないと、見に来てもらえる可能性が低くなると考えてきました。もちろんチームの魅力をアピールすることがいちばん大事なんですけど、まずはいろいろな方にサンバーズを知ってもらい、来た人にバレー以外でも楽しんでもらえる機会を作れるようにしたいと考えています」

 サントリーは今シーズン、金曜日の夜にゲームを行うことを決めた。

「仕事終わりに来られる方をターゲットに、お酒を飲みながら試合を楽しんでもらいたいという発想からです。他のチームがやってこなかったことにどんどんチャレンジしていこうという方針です。いろいろな世代の人をターゲットにして、きっかけはイベントかもしれないけど、バレーボールに興味を持ってもらいたいと考えています」(佐別當広報)

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嶋岡健治

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