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ドイツ移籍、バレー柳田将洋に直撃。
「成長できる保証がなくても……」
posted2017/10/30 08:00
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph by
Noriko Yonemushi
「楽しいですよ。いろんなことが」
10月14日の開幕戦の前日、ドイツ南部の小さな街、ビュールを訪れると、柳田将洋は充実感を漂わせながら言った。その一言に様々な要素が凝縮されていることは後のインタビューでわかった。
男子では初の海外リーグでの日本人対決となったドイツ1部リーグの開幕戦、TVインガーソル・ビュール対ユナイテッド・バレーズ・ラインマイン(フランクフルト)の試合は、中央大学4年の大竹壱青が所属するフランクフルトが、柳田擁するビュールを圧倒した。
ビュールは、25歳の柳田より年上が1人しかおらず、ほとんどの選手が20歳前後という若いチーム。経験の浅いチームはフランクフルトの強力なサーブに崩されて浮き足立ち、1セットも奪えずに敗れた。先発出場した柳田は、武器のサーブで2本のサービスエースを奪い見せ場は作ったが、力みも見えチームを立て直すには及ばなかった。
初の海外リーグ参戦を感じさせない自然体。
柳田は今年、プロ選手となり、海外に飛び出した。新しいバレー人生の第一歩とあって、開幕戦への意気込みはひとしおだった。
「リオ五輪世界最終予選から本格的に海外のことを考えてきて、長いプロセスがあって実現した今日の試合だったので、思い入れはすごく強かった。それで僕によくありがちな硬さが出たかなと思います」
それでも、落ち込むわけでも感慨に浸るわけでもなく、試合が終わった瞬間に頭は次へと切り替わっていた。試合直後のコートには、セッターのマリオ・シュミッドガルと真剣な表情で話し込む柳田の姿があった。
「今日は、今まで自分たちが練習で受けてきたボールよりもかなり強いサーブが来た。オレたちは練習を見直さなきゃいけないのかもしれない、というような話をしました」
その姿は、例えば全日本で石川祐希(中央大4年)と、昨季まで所属したサントリーで酒井大祐と、試合後に話していた姿と変わらない。練習風景を見ていても、他の選手とちょっかいを出し合うなど自然体で、初の海外リーグ参戦であることをあまり感じさせない。