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萩野公介に連勝しても納得しない。
瀬戸大也、世界水泳3連覇への野心。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAFLO
posted2017/07/21 17:00
どの大会でも競争する相手は萩野。金メダリストが永遠のライバルであることは、瀬戸にとって何よりのアドバンテージだ。
水中以外のトレーニングを増やした狙いとは?
一方で、取り組みの面で改善すべき点はあらためた。
大学入学後、ウエイトトレーニングを始めて筋肉は増大していた。それはレース後半のパワーともなっていたが、一方でスタミナを失わせているような印象も与えた。それを考慮した中で、トレーニング方法を変える決断を下した。
「オリンピックの頃までは1週間に1日オフを入れるスケジュールでしたが、3日練習して1日休みにしました。6日連続の練習だと、どうしても週の後半になると疲労がたまっていましたが、その中で練習するより、集中して取り組んだ方がよいと考えたからです」
さらにランニングやボクササイズなど、水中以外でのトレーニングメニューのバリエーションを増やした。
「さまざまなトレーニングを取り入れているのは、水泳に特化しすぎるよりも、という考え方です。例えば陸上で違う動きをした方が、体全体を使うようになって運動神経の刺激にもなるかなと考えているからです」
今年の日本選手権、ジャパンオープンでは連勝も。
今年に入り、4月の日本選手権400m個人メドレーでは萩野とデッドヒートを繰り広げ、100分の1秒差で破り初優勝を飾った。しかもラスト50mでは僅差ながら先行を許し、そこからの逆転劇だった。最後の泳法である自由形は萩野が得意とすることを考えても、その価値は大きかった。
「最後にスパートを入れられるようになったのはトレーニングの成果だと思います」
続く5月のジャパンオープンでも優勝し、2試合続けて、萩野に勝利した。
ただ1つ、瀬戸が気にしていたのは、タイムが2大会ともに4分10秒台にとどまったことだった。
「4分10秒が自分にとって大きな壁ですね。これを越えれば、あとはぽんぽんと行くと思うんですけど……」
思い当たる理由もなく、首をかしげていたが、6月24日、イタリアでの大会で初の7秒台となる4分7秒99の自己新をマーク。不安を吹き飛ばした。