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Bリーグ大河正明チェアマンが語る。
NBAのアリーナ、ビジネス、地元愛。
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph byKiyoshi Mio
posted2017/03/10 11:00
銀行員から転身し、Jリーグ理事を務めた大河正明氏。一足先にバスケット界入りしていた川淵氏に請われてBリーグの初代チェアマンに就任した。
「とにもかくにも、事業規模をビッグにする」
──NBAのオールスターは、規模が大きくなってきていて、オールスター・サタデーやオールスター・ゲームだけでなく、バスケ万博のような感じで、この期間はバスケット関係者やファンが街に集まるようなイベントになっています。 Bリーグにとっても、オールスターは新しいことを取り入れやすいイベントだと思うのですが、将来的にオールスターを、試合だけでないイベントにしようということは考えているのですか?
「そうですね。たとえばオールスター・ウィークエンドを使って、世界からいい指導者を呼んできて講習会をやるとか。日本のバスケットはどうやって戦って強くなっていくかという、ジャパンズウェイを議論する場を設けるとか。審判の技術向上でもいいと思うんですけれど、日本でバスケット談義をし、レベルアップをしていくようなことができるといいですよね」
──たとえばNBAだと、テクノロジーサミット(専門家たちによるテクノロジーの活用方法のパネルディスカッション)が行われたり、引退した選手を称えるような昼食会も行われています。
「我々も、NBAケアズのような形で活動を始めていて、Bリーグのオールスターでも、小児難病の方と、そのご家族をお招きして選手と触れあいをしたり、試合を見てもらったりしたんですけれど、そういうことをもっと大きな規模でやってもいいのかもしれないですね」
──今回のNBAオールスター開催地であるニューオリンズは、特に街とリーグのつながりの強さを感じる場所で、ハリケーン・カトリーナの3年後、2008年に復興の手助けとなるようにニューオリンズでオールスターを開催したり、今回はシャーロットでのオールスター開催を中止したときに、直前にも関わらずニューオリンズ側が、「これまでNBAには助けてもらったから、今度は自分たちが助ける番」と、開催地として名乗りをあげたそうです。日本では、今はまだリーグと街との繋がりというよりは、クラブと街の段階でしょうか?
「クラブは地域に根付いてということをよく言っています。とはいえこれまでは、地域に根付いているようで根付いていなかったと僕は思っていて、たとえば行政の方と本当に向き合っているかどうか。今回、B1クラブのホームゲームの8割は、5000人以上のアリーナを使ってくださいという条件は、行政の首長に頼みにいかないとできなかったことなんですけれど、皆さん、まだまだそういうことをやっていなかったと思いますね。
これをリーグとして、オールスターだけじゃないかもしれないですけれど、いろんな行事を、いろんな地方をまわりながら毎年やっていく中で、僕らもそういう活動ができたらいいと思います。新しいアリーナができたところに順番に回ってもいいし、東日本大震災だとか熊本の地震の被災地に行くようなことを考えてもいい」
──Bリーグとして、今後一番強化していきたいことは何でしょうか?
「難しいんだけれど、とにもかくにも、もっと事業規模をビッグサイズにしたい。野球は、日本でいうと1球団平均120億円ぐらいの事業規模で、選手が70人ぐらいいます。サッカーのJ1は30億強の事業規模で、選手も30人ぐらいいます。バスケットは12人ぐらいじゃないですか。なので、30億はいらないんですけれど、B1のクラブの平均事業規模が10億を超えること。3大スポーツとして認知されるには、そこが必要なんだろうなぁと。
今、千葉ジェッツというクラブが非常に集客を頑張ってくれていて、たぶん今年、平均で4千数百人いくと思いますね。ホームゲームが30試合なので、13万人ぐらい。去年が10万人だったのを、今年は13万人。13万人から15万人ぐらい入ると、おそらく自力で10億というのが見えてくるんですね。ということはやっぱり、最初の話に戻りますけれど、お客さんがどれだけ来てくれるかというのが僕らの勝負だし、そのためには地域と密着して、勝っても負けても応援してもらえるクラブというのを作る。
と同時に、日本で見ていると、今はラグビーのほうがバスケットより取り上げられる度合いがちょっと多いと。おととし、イングランドで日本代表が南アフリカに勝ったことの余韻が残っていますよね。国際大会はそれぐらいインパクトがでかくて、バスケットの代表が2019年に中国で開催されるワールドカップに向けて活躍していくこと、それと、各クラブが一生懸命、集客に向けて施策で努力していくこと。もちろんBリーグ自体のプロモーションも大事なんでしょうけれど、そういうこともやりながら、とにかくビッグサイズになりたいなと思います」