“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
高校選抜に大敗、久保建英騒動……。
J精鋭・中村駿太と大迫敬介の見解。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2017/03/01 07:00
馬力ある突破を何度か見せた中村駿太。日本人には珍しいタイプだけに、今後の成長が期待される。
いつまでも“年下感覚”でいてはいけない。
「U-19選手権では、日を重ねていくうちに、先輩達との距離感も縮まっていったことで、どんどんチームの戦術が自分の中に入っていって、やりやすくなった。でも今思うと、最初の頃は他のFWの人たちに気を使いすぎてしまった。大会前、代表にはそこまで呼ばれていなかったので“(U-19選手権の試合に)そんなに出られないだろうな”と思ってしまっていたことで、小川航基(磐田)君や岩崎悠人(京都)君との貢献度の違いとして出てしまった。もう、そんなことを思いたくない。今は“また選ばれて、結果を残したい”という気持ちが強いんです」
いつまでも“年下感覚”でいてはいけない。すでに久保という自分より年下の選手が、U-20日本代表に絡もうとしている。バーレーンでの後悔を繰り返さないためにも、今年は何が何でも結果を求めて、自分を律していく。そう意気込んだスタートの試合で、不甲斐無いプレーを見せてしまった自分にショックを抱くのも無理は無かった。
「本当に今日は非常に悔しい。これを活かしていかないと本当にもったいないと思う。もう高3になるので、年下という感覚を捨てないといけない。上の年代で“食っていく”つもりでやらないといけない年齢だと思う。そんな甘い世界じゃなくなって来る。ゴールを取って行くことはもちろん、ゴールに直結するプレーを毎試合のようにしていく。大変な1年になると思いますが、それくらい危機感と決意、覚悟を持ってやっていきたいと思います」
大迫は日本人で珍しい、体格の良さを生かせるGK。
サンフレッチェ広島ユースのGK大迫敬介も、中村に負けず劣らずの決意を固めている。この世代を代表するGKとして、年代別代表に名を連ね続けるエリートだが、昨年9月下旬のU-19選手権直前合宿を前に太ももを肉離れ。復帰まで1カ月を要してしまい、結果としてU-19選手権のメンバーに入ることが出来なかった。
「物凄く悔しかった。初のアジア制覇をして、同い年の若原(智哉、京都サンガU-18)もメンバーに入っていて、気持ちの切り替えは相当難しかった。でも今は、U-20W杯は“メンバーに入る”のではなく、“ゴールを守る”ことを目標にしています」
リハビリの間、彼は上半身を中心に鍛え上げ、身体つきが一回り大きくなった。もともと判断力とセービングセンスはもちろんのこと、日本人GKでは珍しい、体格の良さを生かして相手に競り負けないタイプでもある。そこに心身ともにたくましさが増したことで、よりスケールの大きなGKに成長しようとしている。