“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
高校選抜に大敗、久保建英騒動……。
J精鋭・中村駿太と大迫敬介の見解。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2017/03/01 07:00
馬力ある突破を何度か見せた中村駿太。日本人には珍しいタイプだけに、今後の成長が期待される。
「決めないと僕の存在意義に関わってくる」
しかしネクストジェネレーションマッチでの中村は、鋭い飛び出しでスペースに潜り込むことは出来ても、肝心のシュートはことごとく相手DFの身体に当てられてしまった。その流れを引きずったのか、フィニッシュ以外でもボールコントロールをミスするなど、プレーがトーンダウン。最後まで調子に乗り切れないまま、58分に交代を告げられた。
「本当にうまくいかなかった。シュートは股を狙っていたのですが、ことごとく引っかかってしまった。本来ならば試合中に修正しなきゃいけないのに、上手く切り替えられなくて……点が取れませんでした」
中村はミックスゾーンで開口一番に反省の弁を述べた。最初こそひとつひとつ言葉を選びながら話をしていたが、徐々にあふれる想いをこらえきれなくなっていった。
「股を狙ったのは、パスが足下に来る感じだったのと、GKも廣末(陸、FC東京)くんだったので、工夫をしないと打ち破れないと思ったんです。でも、狙いすぎたというか、考えすぎました。0-4の敗戦の“0”は僕の責任。チャンスに決めなかった僕の責任だし、決めないと僕の存在意義に関わってくる。今はすごく落ち込んでいます」
「建英はあれだけ注目されていても……」
悔しさにうち震えているのが、目に見えて分かった。涙を我慢している素振りも見せた。思い詰めているような姿は、彼が自分の現状に対して危機感を抱いている現れだった。
その危機感の根源は、U-19選手権での経験と、この日2トップを組んだFW久保建英の存在だ。
「建英はあれだけ注目されていても、プレッシャーを感じないでプレー出来る。凄いところだなと思いました」
囲み取材の中で、久保に対するコメントを求められた時、彼はこう答えた。この時は「あたり障りの無いコメントをしたのかな」と思ったが、彼と話してみると、それが心から出た言葉であることが分かった。