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福井、辻野、修造、そして本人!
みんなで語る4大大会、錦織圭の勝算。
posted2017/01/12 15:15
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph by
Hiromasa Mano
「錦織くん、なかなかグランドスラム勝てないね」
世界ランク5位で2016年を終え、グランドスラムで4強、決勝も経験している錦織圭選手について、素朴にそう思っているファンの方は多いだろう。
だが、そんな言葉を聞くたびに、1990年に今はなきセイコー・スーパーテニスでボリス・ベッカーと辻野隆三の名勝負を目撃したのが自慢の中年テニスファン、デスクNは歯がみしていた。
「そんなに簡単じゃないんだよ!」
ならば全豪オープン前週という絶好のタイミングで発売になるNumber919号「2017テニス開幕特集」で、錦織選手がグランドスラムに勝つためにどうしたらいいか、徹底的に考えてみようじゃないか。
というわけで、各方面への取材がはじまった。
「そんな簡単なもんじゃないですよね」
今はなきセイコー・スーパーテニスで、ウッドラケット時代のジョン・マッケンローを目撃した筋金入りのテニスファン、俳優の石黒賢さんはどこまでも爽やかに憂えた。
「ここから先は簡単ではないです」
マッケンロー、ビヨン・ボルグ、イワン・レンドルなど6人もの世界No.1と戦ったことのある伝説の男、福井烈さんがうなずく。うぅ、やっぱりそうですよね。じゃあ、どうしたら……?
クレーの常識を変えつつある錦織のテニス。
歴代世界1位を総覧して、グランドスラム優勝、そして世界1位への道を学ぼうという石黒×福井対談。世界を知るふたりは、興味深い指摘をしてくれた。
「錦織選手はフィジカル的には強くなってはいます。しかし、5セットマッチの連続で強豪と対戦するグランドスラムでは、疲れがくるときが必ずあります。そこをどううまく乗り切るか……」(福井)
「錦織選手は、長いストローク戦が基本だったクレーコートで、ドロップショットを織り交ぜたりして、クレーの名選手たちがつくってきた常識を変えつつあると思います。クレーに目があるんじゃないかと」(石黒)
長丁場対策、クレー。なるほど。