オリンピックへの道BACK NUMBER
メダルを目指すダークホース3競技。
飛込み、フェンシング、体操の矜持。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAFLO
posted2016/07/31 11:00
板橋美波16歳。東京五輪でエースとなることが予想されているが、一足先にリオで成果を残すつもりだ。
「大会後の記者会見で主役に」なりたい男。
見延和靖という選手がいる。フェンシング・エペ代表である。福井県立武生商業高校に入学後、フェンシングを始めた。他のエリート選手に比べれば競技のスタートは遅い。29歳でのオリンピック初出場となる。
見延が脚光を浴びたのは、昨年11月のことだ。世界ランク1位の選手を破るなどして、ワールドカップで初優勝を遂げたのである。
フェンシングは3種目あるが、エペは全身のどこでも突けば有効となる唯一の種目だ。欧米では人気が高く競技人口も多い上、リーチの短い日本の選手は、苦手と考えられていた。
その中で見延が結果を残せたのは、1つにはもともとフルーレの強化が中心にあった体制から、3種目ともに強化を図るように転換してきたことが1つ。また、見延の身体的特徴もある。身長は177cmだが、リーチが190cmを超えるのである。
さらに見延には、リオにかける強いモチベーションがある。
「金メダルを取って、大会後の記者会見で主役に」
4月の、フェンシング日本代表記者会見でのビデオメッセージの言葉だ。
「エペの認知度を上げるためにも頑張りたい」
7月に行なわれた法政大学出身者の壮行会ではこう語っている。
日本では、太田雄貴の活躍から、どうしてもフルーレの認知度が高い。だから、結果を残したいという思いは強い。エペは、上位の選手は誰もがメダル候補と言われるほど拮抗している。世界ランク9位の見延もまた、その1人である。
体操女子は、メダルを現実的に狙っている。
「メダルは不可能じゃない」
寺本明日香はそう語っている。ロンドン五輪に続く2度目のオリンピックの今回は、体操女子日本代表の主将を務める。
寺本だけではない。体操女子のリオ代表選手たちは、「メダル」を口にする。例えば宮川紗江、内山由綺……。