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<10代が挑むオリンピック>
背泳ぎ・酒井夏海「のびしろは無限大」 

text by

田坂友暁

田坂友暁Tomoaki Tasaka

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photograph byTakao Fujita

posted2016/07/29 09:00

<10代が挑むオリンピック>背泳ぎ・酒井夏海「のびしろは無限大」<Number Web> photograph by Takao Fujita
代表選手団で最年少ながら、常に結果にこだわる姿勢を貫く。飛躍の可能性は十分だ。

「のびしろ」という言葉の答えは彼女にある。

 6月、五輪本番に向けた強化合宿を兼ねて、競泳欧州グランプリに参戦した日本代表選手団最年少の酒井夏海(スウィニ南越谷)。今年15歳になったばかりの中学3年生ながら、身長174cmの長い手足を生かした泳ぎが魅力的な大型スイマーだ。

 6月8、9日のフランス・カネ大会に出場した酒井は、100m背泳ぎで1分00秒94の2位に入る。翌日、スペインに移動して迎えた11、12日のバルセロナ大会。ここでも100m背泳ぎは1分00秒91とまずまずの記録で3位表彰台を獲得した。

「ラスト15mが全然伸びませんでしたし、ターンも遅かった。課題が多かったです」

 五輪代表権を手にした日本選手権で出した1分00秒12の自己記録には及ばないものの、厳しいトレーニングを積みながらのレースで、自己ベストと遜色ないタイムで泳いだことは評価しても良いはず。だが、酒井は全く納得せずに反省の弁を口にした。

 一体、何がそこまで酒井を追い立てるのか。その理由のひとつに、100m背泳ぎのロンドン五輪銅メダリストである、寺川綾の存在が見え隠れする。

「寺川が引退してから、日本女子の背泳ぎが弱くなってしまった」

 小学6年生の全国大会で優勝し、日本学童新記録も樹立していたほどの実力者である酒井は、SS合宿(スーパースイマーズ育成合宿)に参加したときに聞いた、この言葉がずっと胸に残っていた。

「それが悔しくて、私ももっと頑張らなきゃって思いました」

 寺川が持つ100m背泳ぎの日本記録は58秒70。寺川を意識すれば、自己ベストの1分00秒12は、納得できる記録ではない。

「いつまでも、1分00秒台じゃいけない。早く59秒台で泳ぎたい」

 その気持ちが、酒井を焦らせる。

 だから4月の日本選手権以降、5月のジャパンオープン2016や6月の欧州グランプリ、7月の三重県選手権と、立て続けに1分00秒台の記録で泳ぎながらも、酒井は全く納得できないのである。

この記事は雑誌『Number』の掲載記事です。
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