オリンピックへの道BACK NUMBER
メダルを目指すダークホース3競技。
飛込み、フェンシング、体操の矜持。
posted2016/07/31 11:00
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
AFLO
三者三様、それぞれに過程は異なっても、志は共通する。
「必ず決勝に残って、メダルを獲る勢いでしっかり頑張りたいと思います」
高校2年生、飛込みの板橋美波は言う。
小学3年生のとき、通っていたスイミングクラブで誘われ、飛込みを始めた。小さな頃から、遊園地で何度もジェットコースターなどの乗り物に乗るほど、高いところが好きだったという。飛込みに進むのは自然だったかもしれない。
中学1年生になると、高飛込みに本格的に取り組む。それからコーチも認める練習量を積んできた。
「学校がある日は、1日約4時間から5時間くらい。休日の1日練習のときは午前9時から午後7時くらいまでです」
その努力あって、2014年に史上最年少の14歳で日本選手権優勝を果たす。大きく注目を集めるようになったのは昨年のことだ。日本室内選手権の高飛込みで、日本女子史上最高の404.20を出し優勝したのだ。ロンドン五輪なら銀、2013年の世界選手権なら金メダルに相当する高得点であった。
しかも大会では「109C」(前宙返り4回半抱え型)という、女子では世界で誰も成功したことがない大技に成功。俄然、期待は高まった。
「世界でただ1人しかできない技」が重圧に。
ただ、昨夏の世界選手権は予選を6位で通過しながら、16位にとどまった。
「(プレッシャーには)どちらかと言えば弱い方だとは思います。練習でできても試合になると足が震えたり、平常心を保てずどうしようとなることはよくあります」
と自己分析する板橋は、世界選手権をこう振り返っている。
「『世界でただ1人しかできない技を決めたら金メダル』とか報道があって、決めないと、決めないと、という思いが強すぎました」
それでも、リオへの思いは強い。
「オリンピックの代表になったことで、少しでも皆さんに飛込みを知っていただけたらいいなと思っていましたが、オリンピックでもっといい結果を出せばもっとたくさんの方に飛込みをしってもらえるし、やりたいっていう言葉も増えると思うんです」