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絶滅危惧種の魔球に居場所はあるか。
大家友和とナックル、最後の挑戦。
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ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph byKatsushi Nagao
posted2015/11/03 10:30
![絶滅危惧種の魔球に居場所はあるか。大家友和とナックル、最後の挑戦。<Number Web> photograph by Katsushi Nagao](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/0/5/700/img_053f712e29c55401ba2a608e0deb1396122191.jpg)
現在39歳だが、大家友和の向上心は全く衰えていない。日本プロ野球でその姿を再び見ることはできるだろうか。
現役唯一のナックルボーラー主戦投手の教え。
ブルージェイズには当時も今も、ナックルボーラーとしては現役唯一の主戦投手であるR.A.ディッキーがいる。ディッキーは当時、こう言っている。
「ナックルボールは絶滅危惧種みたいなものだ。マイナーを含めても、今では数えるほどしか存在しない。だから、自分に教えられるものは何でも教えたい」
結果的には開幕を待たずに自由契約となったものの、大家はディッキーから多くを学んだ。たとえば、どんなにゆっくりでもボールが順回転するのは『ノーチャンス』。逆回転=トップ・スピンしているなら幾らか回転していても、ボールが落ちる軌道になるので打ち取れるチャンスはある。
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メジャーリーグの最優秀投手賞であるサイ・ヤング賞を獲得したこともあるディッキーだからこそ分かる、ナックルボーラーの危機管理法だった。
「練習の仕方とかもいろいろ聞いたけど、基本的にはやっぱり、毎日投げて感覚を養うことに尽きる。それは自分でもやって来たことだし、最初から大事なことだと分かってた。でも試合での使い方とか、カウントによってスピードに変化をつけるとか、どんな状況で他の変化球や速球を投げるとか、そういうピッチングそのものの話が勉強になった」
「もっと速いナックルで勝負できるように」
ブルージェイズを自由契約になった後、大家は米国の独立リーグでトライアウトから契約を勝ち取っただけではなく、先発ローテーションに食い込み、ナックルボーラーとして初の完封勝利を上げるなどした。今季はBC独立リーグに戻り、富山では3勝5敗、防御率8.22と苦しんだが、福島への移籍後は4勝5敗、防御率1.94という成績を残している。今夏富山を訪れた時、彼は今の課題をこう語っていた。
「バッターを打ち取れてはいるけど、もっと空振りを増やして、三振を獲りたい。遅いナックルで打ち取れるのは分かってるけど、もっと速いナックルで勝負できるようにならないと」