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2年ぶりに表彰台獲得の中上貴晶。
さらなる活躍を期待しての辛口提言。
posted2015/09/20 10:30
text by
遠藤智Satoshi Endo
photograph by
Satoshi Endo
「低迷する日本人が強くなるためにはどうしたらいいのか、その日本人勢のエースとして中上貴晶の走りに注目が集まっている」
このコラムで8月下旬にそう書いたことが発憤材料になったのだろうか。
先日行なわれた第13戦サンマリノGPで中上が3位になり、2年、36戦ぶりに表彰台に立った。
表彰台に立てた要因は、ふたつ。
ひとつには、この数戦で結果にはつながらなかったが、マシンが仕上がってきており、着実に調子があがっていたこと。ふたつ目はタイヤチョイスがうまくいったことである。
Moto2クラスは、2010年に250ccクラスに代わってスタートした。
250ccクラスは、それまで2ストロークエンジンを搭載した純粋レース用マシンで行なわれていたが、2ストロークが環境問題などで時代にそぐわなくなり、ホンダのロードスポーツモデル「CBR600RR」をベースにしたエンジンを搭載する1社供給クラスとして始まった。
やはり2ストロークエンジンを搭載して行なわれていた500ccクラスも'01年を最後に終了し、'02年からMotoGPへとスイッチしている。
その一環として、250ccクラスが'10年にMoto2クラスへ。'12年には125ccクラスが4ストローク250ccエンジンを搭載するMoto3クラスへと代わり、グランプリから2ストロークエンジンが姿を消した。
エンジンとタイヤは全てのバイクが一社供給。
こうして新しい時代を迎えたグランプリだが、コストが膨れあがった250cc時代の反省から徹底的にコストを抑えるため、Moto2クラスはエンジンのみならずタイヤもダンロップの1社供給としている。
結果としてマシンの違いは、4コンストラクターが参加している車体と、3社が参加しているサスペンションのみ。
過去2年はカレックスがコンストラクターズタイトルを獲得し、今年はエントリー31台中約7割がカレックスという独り勝ち状態だ。
フリー走行や予選では、トップから1秒差以内に20台前後がひしめく大接戦が続いていて、中上もカレックスユーザーのひとりである。