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「自分も選手も徹底管理」がハリル式。
部屋行き来禁止、長机、毎日出勤。
posted2015/06/11 10:40
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph by
Takuya Sugiyama
ちょっと息が詰まりそうなぐらいの管理ぶりである。
海外組の一部を集めて6月1日に合宿がスタートしたハリルジャパン。始まりは心拍数の数値をもとに個別に距離を設定してのインターバル走を実施し、計測値をグラフ化して個々に説明していく。ヴァイッド・ハリルホジッチの仕事はとにかく細かく、とにかく丁寧だ。
「今回の合宿は少し難しい問題を抱えている。各国のリーグ戦などが終わる時期が違っていて、5月23日に終わった者もいれば、長友や本田はつい最近終わったばかりだ。そのために準備の仕方が違ってくる。どのような状態なのかを知るため、フィジカルテストも行なう。メンタル的な部分も確認する」
日本代表は11日の親善試合イラク戦、そして16日にはロシアW杯アジア地区2次予選シンガポール戦を迎える。国内組も8日に合流を果たし、最高のコンディションをつくっていくための綿密な“ハリルプラン”が現在、実施されているというわけだ。
冒頭に「ちょっと息が詰まりそうなぐらい」と書いたのは、徹底したコンディション管理がピッチ内にとどまらないから、である。
ホテルの部屋往来さえ禁止する徹底管理。
朝、昼、夜の食事時間が決まっているのはよくある話としても、ハリルジャパンは原則として、練習と練習の間、ホテルの部屋往来が禁止されているという。これまでは誰かの部屋に行って話をしたり、ゲームをしたりなどと思い思いにリラックスしていたのだが、「その時間はしっかりと部屋で休むように」とここも管理の手が伸びている。
国内組もそろった8日からは、練習後の取材対応も選手全員ではなく、1日8~9人のみとなった。非公開練習の情報漏れを防ぐという観点ではなく、練習後のスケジュールを時間どおり、速やかにしたいという目的からだそうだ。
食事の席も丸テーブル方式から、長机に変更された。席順まではさすがに決まっていないが、後者のほうが選手の顔を直接確認しやすいということもあるのではないかと思う。
「我々はファミリーだ。私はピッチに立つときは鬼になるが、それ以外のときはファミリーだから」
ハリルホジッチは3月の初合宿で選手たちにこう語ったという。
厳しくも、選手たちに寄り添うのがハリル流なのだろうか。