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世界卓球、日本勢はどう戦っている!?
中3ペアの2人が戦いながら得たもの。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAFLO
posted2015/04/30 11:40
中学3年生のペアとなった伊藤美誠(左)と平野美宇。シングルスではともに3回戦へ進出している。
試合が進む中で、戦いが進化していくふたり。
「慣れていませんでした」
伊藤が言うように、若い世代だと、カット型との対戦経験があまりない。それが敗因だった。
ただし、敗れた中でも力は見せていた。第1ゲームは開始から連続7失点し、厳しい戦いを予想させたが、2人はそれを覆した。
1-3で迎えた第5ゲーム、8-9と劣勢に立ったところから逆転で奪うと、第6ゲームは11-4で圧倒。
最終ゲームこそ9-11で競り負け、試合を落とすことになったが、どちらに転ぶか分からない接戦を演じた。試合が進む中で、急速にカット型との戦い方に慣れていったからだ。
負けたとはいえ、2人のペアのポテンシャルの高さを再確認することができたし、不慣れのカット型との対戦を大舞台で経験したことは、これからの財産となるはずだ。
4月30日には、そろってシングルスの3回戦に登場、平野は世界ランキング1位の丁寧(中国)との対戦だが、シングルスでの強豪との試合もまた、今後につながる。
男子もベテランも、勢いを感じさせる戦いぶり。
一方、平均年齢21歳と若い選手がそろった男子。半分は世界選手権に出場するのは初めてだが、そのうちの2人である大島祐哉、森薗政崇組が準々決勝に進出。
「この1年でもっとも勢いのある選手を選出しました」
日本代表男子・倉嶋洋介監督の言葉を象徴する試合ぶりを見せてきた。
むろん、若手選手たちばかりではない。
女子では、いまや日本の柱となった世界ランキング5位の石川佳純がシングルスで順当に3回戦に進出し、吉村真晴と組んだミックスダブルスでは、29日の準々決勝に勝利し、メダルを確定させた。
福原愛は昨年、左足小指の疲労骨折や腰痛などに苦しみ休養期間の長かった影響もあってか、シングルスは2回戦で敗れたが、第1シードで臨んでいる若宮三紗子とのダブルスでは準々決勝に進んでいる。
男子でも、やはり世界ランキング5位のエース水谷隼が3回戦に進出したほか、20歳ながら個人戦では4度目の世界選手権出場となる丹羽孝希がシングルスで3回戦に、松平健太とのダブルスでは準々決勝に進んだ。