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“守備の人”細貝萌が磨く攻撃性能。
類希なる成長力は再び発揮されるか。
posted2014/08/27 10:40
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
AFLO
昨シーズンとはまた違った顔を見せるのではないか。
開幕戦でそう感じさせるプレーを見せたのが、ヘルタ・ベルリンの細貝萌だった。
8月23日に行なわれたブレーメン戦の前半16分、カウンターからヘルタの先制点は生まれた。チームに加わったばかりの原口元気が左サイドのスペースへパスを出し、これを受けたベーレンスがクロスを上げ、シーバーが頭で押し込んだ。日本では原口が絡んだゴールとして報道されているシーンである。
しかし、この先制点に至るシーンで見逃せないポイントがあった。それが、先に記した先制点につながる一連のプレーの始まり、ゴールの起点と言い換えてもいい。以下にそのシーンを振り返ってみる。
「セカンドボールを次の選手に」という意識。
ブレーメンのセンターバックのルキミヤがブレーメン陣内に来たボールをクリアする。これをヘルタの左サイドバックのシュルツが跳ね返した。
ヘルタのカウンターが発動するのはここからだ。
細貝がルーズボールを胸でトラップすると、足下に落ちてきたボールをそのまま左足ではたき、トップ下のロニーへ送ったのだ。そのロニーが原口に落とし、先に挙げた原口のスルーパスにつながった。
「この試合ではポジティブな瞬間を見ることもできた。ゲンキと、2得点したユリアン(シーバー)、ベーレンスの攻撃陣の3人だ」
試合後にルフカイ監督が語ったように、3人の活躍が大きかったのは間違いない。
しかし――。
もしも、細貝の素早くつないだパスがなければ、あのカウンターは成功していなかったはずだ。あのプレーの意図について、細貝はこう解説する。
「あれはクリアでもあるのですが、正確に蹴れる、蹴れないは別として、セカンドボールを次の選手のところに落とすということをここ最近は意識しているんです。ロニーのところへ、思った通りに上手く通りましたが、意識して取り組んでいるプレーが得点につながったことは良かったなと思います」
ここに細貝のさらなる飛躍の鍵があるのではないだろうか。