野球善哉BACK NUMBER
「方程式」への依存が故障者を生む。
オリックス流、救援陣マネジメント。
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byHideki Sugiyama
posted2014/07/02 10:30
6月30日時点で22セーブをあげ、セーブ王を独走する平野佳寿。31試合の登板で32回2/3という投球回数からも、オリックスの安定的な起用が見て取れる。
去年と比べてもほとんど変わっていない登板ペース。
オリックスの「ナイト・デー」の場合の登板実績を見ると、連投は確かに存在するが、「ナイト・デー」でのイニングまたぎは佐藤達也が1試合あっただけだった(前日が延長にもつれ込み、2試合とも1点差という競ったゲームだった)。
デーゲームが多い土曜日の前の金曜日に、長いイニングを任せられるエースの金子千尋が登板していることが救援陣の負担を軽減できている一つの要因だが、オリックスでは、救援陣の起用に関してマネジメントの意識が定着しているといえるだろう。
森脇監督は、救援陣の起用法についてこう言及している。
「監督云々ではなくて、ピッチングコーチやコンディショニングコーチがしっかり動いてくれているのが、うまくいっている理由だと思います。交流戦の終盤戦の段階で救援陣の登板を調べたら、昨年の同時期と比べても、佐藤や平野(佳寿)の登板数が1試合多い程度、球数にして15球くらいだというのがわかりました。勝敗は去年と違うのにそうなっているわけですから、コーチがうまく調整してくれている成果だと思います」
「方程式」を温存して臨む試合もある。
今季のオリックスは打線も好調だが、チームのストロングポイントを挙げるとすれば強力な投手陣ということになる。金子、西のダブルエースと安定感抜群の平野、佐藤、馬原らの救援陣。これが最大限に生かされることで勝利を手繰り寄せている。
しかし、ストロングポイントだからといって、シーズンの前半から負担をかけすぎれば、シーズン終盤になって必ず歪みが出てくる。高山郁夫ピッチングコーチは「(起用については)勝利が最優先。しかし、選手が最大限の力を発揮しやすいように持っていくことが大事」と話している。
週末の3連戦にも、そのマネジメントの上手さが生きた場面が見られた。
ペナント再開となった27日の試合では、エースの金子が先発。7回を無失点に抑えた時点で球数は79球だったが、5点のリードがあったためマウンドを降りた。そこで起用されたのは、勝利の方程式の投手陣でなく、岸田護、マエストリの2人だった。彼らが8、9回を無失点で抑えたことで、デーゲームの前日のナイターを、「方程式」を使うことなく乗り切ることができたのだ。