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ブンデスの名門シュツットガルトが、
岡崎慎司の獲得を熱望する理由。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byTakuya Sugiyama
posted2011/01/15 08:00
代表選手としてザック・ジャパンでも獅子奮迅の活躍を見せる岡崎。アジアカップ後には移籍も正式発表されるはずだ
成績もそこそこ良く、選手の質も悪くはないが……。
一昨年のシーズンでは前半戦を10位ながら、最終的には3位に入った。昨シーズンの前半戦は15位に沈みながら、6位でシーズンを終えた。後半戦だけの成績を見てみると、一昨年だと優勝したヴォルフスブルクに続く2位。昨季に至っては王者バイエルンを抑えて最も多くの勝ち点を挙げているのだ。
現在のメンバーを見ても、ドイツ代表のFWカカウ、DFタスキ、MFトレシュなどがチームの背骨となり、モリナーロ(イタリア)、クズマノビッチ(セルビア)、ボラルーズ(オランダ)など各国の代表選手たちが脇を固める。
選手の質は悪くない。実力を発揮できれば、良い成績を残せる。足を引っ張るのはいつも、チームの内紛である。
岡崎は新監督の下で堅守速攻のサッカーに適応できるか?
昨シーズン、当時のバッベル監督が退く前には、一部のベテラン選手が当時のGKレーマン(昨季終了後に引退)の“悪口”を監督に告げに来た。
「そんな話をするために監督である僕のところに来るのだから、悲しくなってしまう」
バッベルはシュツットガルトを離れたあとに、嘆いていた。
今シーズン、グロース監督がチームを追いやられる前にも、聞こえてきたのは監督を批判する声である。選手からだけでなく、当時のコーチもメディアに不満をもらしていた。
「グロース監督は、独裁者のようだ」
過去2シーズンにおいて、危機的な状況から一転、後半戦の躍進の原動力となったのはシンプルなサッカーだった。ボールを奪ったら素早く前線に送り、フィニッシュへとつなげる。
新しく監督が来たために難しいサッカーに挑戦するのではなく、シンプルなサッカーを目指す。それが結果的に、うまく「はまって」いるのだ。
12月にラバディア監督を迎えた今季も、過去2シーズンのような巻き返しが期待されている。
移籍が濃厚とされる岡崎は、現時点でサイドのMFで起用されるのか、2トップの一角で起用されるのかはわからない。
いずれにせよ、過去2シーズンでシュツットガルトが結果を残したような堅守速攻のサッカーに適応する必要があるだろう。守備から攻撃への素早い切り替えと、ゴールが当然のように求められるのはもちろんだが、それ以上に大切なのはチームへの献身的な姿勢だろう。