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メッシも困惑のバロンドール受賞。
“バルサの一人勝ち”が意味するもの。 

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中嶋亨

中嶋亨Toru Nakajima

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posted2011/01/13 10:30

メッシも困惑のバロンドール受賞。“バルサの一人勝ち”が意味するもの。<Number Web> photograph by Getty Images

FIFAバロンドール候補者の最終ノミネートに選ばれたイニエスタ、メッシ、シャビ

 2010年7月にフランス・フットボール誌選定の欧州最優秀選手賞「バロンドール」と、FIFA最優秀選手賞が統合されて作られたFIFAバロンドール。最終ノミネート3人に選出されたのは、シャビ、イニエスタ、メッシと全員がバルセロナの選手だった。そして、最終的に受賞したのはメッシとなった。

 メッシの受賞はスペインでは少なからず“不公平”と捉えられている。

 何しろメッシ本人が受賞後に「自分が選ばれるとは思っていなかった。最終選考はシャビとイニエスタのどちらかに決まると思っていた」と語ったほど。

 さらにメッシはバロンドールの授賞式前の会見では、「W杯を勝ち取って、この賞をもらいたい」とまで言っているくらいなのだ。

 イニエスタとシャビのいずれかが受賞できなかったことをスペインが不公平と感じるのもそこにある。ましてや、シャビとイニエスタはメッシと共にバルセロナで活躍し、彼らなしではメッシの輝きも半減することは、南アフリカW杯でメッシが沈黙したことを見れば明らかだった。メッシも受賞直後に、「仲間とこの賞を分かちあいたい。彼らなしでは自分もここにはいないのだから」と語っている。

スペイン国内の論調はシャビを推す声が多かったが……。

 授賞式前のスペインでも、受賞者として相応しいのはシャビであるという論調が強かった。

 イニエスタはW杯優勝を決めるゴールを挙げたが負傷離脱の期間が長く、シーズンを通じてバルセロナとスペイン代表で活躍したシャビこそが最も相応しいという意見が多かった。

 バルセロナ系のムンド・デポルティーボ紙とスポルト紙はそれぞれ「受賞者に相応しいのは誰か?」という事前アンケートを行ない、揃ってトップがシャビ、2番手がメッシ、そしてイニエスタと続いた。またスペイン人唯一のバロンドール受賞者ルイス・スアレス(1960年受賞)は、「最も相応しいのはシャビ」と語り、ヨハン・クライフも「常に高いパフォーマンスを維持し、オーケストラの指揮者であったシャビが最も相応しい」と語っていた。

W杯を勝ち取っていないメッシの受賞に異議が噴出!

 しかし、FIFAに指名された発表者グアルディオラが封筒を開けて読み上げた名前は「リオネル・メッシ」だった。

 授賞式を生中継していた国営放送系のスポーツ番組でゲスト解説者を務めていたビクトル・フェルナンデス(元ベティス監督)は、「FIFAはW杯の価値に重きを置いていないということか。チャンピオンズリーグもW杯も勝ち取っていないメッシが受賞するとは。2006年にはどうしてカンナバーロが受賞できたのか?」と露骨に落胆の表情を示し司会者を慌てさせていたが、ビクトル・フェルナンデスの言葉は多くのスペイン人の気持ちを表している。

 授賞式終了直後のマルカ紙WEB版の見出しは、「メッシ、スペインからバロンドールを取り上げる」になっている。

【次ページ】 「これはバルサのカンテラが勝ち取った賞」とシャビ。

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