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スペインvs.イタリア、濃密な120分。
両監督が見せた世界最先端の采配。 

text by

豊福晋

豊福晋Shin Toyofuku

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photograph byREUTERS/AFLO

posted2013/06/28 11:55

スペインvs.イタリア、濃密な120分。両監督が見せた世界最先端の采配。<Number Web> photograph by REUTERS/AFLO

試合後、決勝について尋ねられたデルボスケ監督は「ブラジルが有利だ。ブラジルはW杯で5回、コンフェデ杯で3回優勝しているチームだ。マラカナンで戦えるなんて、それだけで興奮するね」と語った。

スペインの強みを消すことに成功したプランデッリ監督。

 マッジョの存在は、スペインの攻撃の形をひとつ消すことにも繋がる。

 それは、対峙するアルバとの関係だ。

 マッジョが大きく開いたポジションをとって積極的に上がることで、アルバの攻撃参加を制限した。

 イニエスタとアルバの崩しは、現スペイン代表で最もよく見られる攻撃パターンでもある。スペインの攻めに厚みがなかったのは、アルバを封じたこのマッジョの存在が大きかった。

 スペインとの大一番で3-4-2-1を採用したプランデッリの頭には、3バックにして中央を固めイニエスタのスペースを消すことだけでなく、サイドを支配するという、もうひとつの意図もあったのである。

パスサッカーを諦め、縦へと展開するサッカーに切り替えたスペイン。

 前半の間、ベンチに座ったスペインのデルボスケ監督は、時々顔をしかめながら何かを考えていた。スペインにとっては、やりたいことは何もできていなかった。ポゼッションこそ上回っているものの、枠内シュートすら打てない。

 一方でイタリアにはマッジョの2度の決定機だけでなく、ジラルディーノやジャッケリーニにも危険なシーンを作られていた。

「前半は明らかにイタリアにやられていた。両サイドに開いたマッジョとジャッケリーニに苦しめられていた」

 デルボスケが状況を打開するために切ったカードは、シルバに代えてナバスというものだった。

 それはスペインの代名詞でもある足下で繋いで崩していくパスサッカーから、縦へと早いサッカーへの変更でもある。この交代は奏功し、試合の流れを大きく変えることになる。

 ナバスは右サイドでボールを受けては仕掛け、縦のスペースを巧みに利用した。対応するジャッケリーニやキエッリーニも、ナバスのスピードについていけず、スペインは右サイドからたびたびチャンスを作っていく。

 前半に右のマッジョを使ったイタリアと同じように、デルボスケも右のナバスを使ってはサイドを攻めたのである。マッジョとナバスはどちらも代表における主役ではないが、両チームにとって大きな意味を持つ存在だった。

【次ページ】 スペイン、イタリア両監督が見せた世界最先端の采配。

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