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スペインvs.イタリア、濃密な120分。
両監督が見せた世界最先端の采配。 

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豊福晋

豊福晋Shin Toyofuku

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photograph byREUTERS/AFLO

posted2013/06/28 11:55

スペインvs.イタリア、濃密な120分。両監督が見せた世界最先端の采配。<Number Web> photograph by REUTERS/AFLO

試合後、決勝について尋ねられたデルボスケ監督は「ブラジルが有利だ。ブラジルはW杯で5回、コンフェデ杯で3回優勝しているチームだ。マラカナンで戦えるなんて、それだけで興奮するね」と語った。

 スペインが大勝するのではないか。

 ブラジルは前夜にウルグアイを破り決勝進出を決めていた。翌朝のブラジル国民の話題は、マラカナンでの決勝の対戦相手についてだった。

 もうひとつの準決勝を前に、ほとんどの人がスペインの決勝進出を予想していた。ファンだけでなく、メディアも同じだ。『夢の決勝』という言葉が紙面を踊っていた。

 劣勢が予想される中、しかしイタリアのプランデッリ監督は自信に満ちていた。指揮官は前日、選手たちにこんな話をしたという。

「私が就任してから、親善試合では我々がスペインに勝ち、EURO2012のグループリーグでは引き分けた。負けたのはあのEURO決勝だけなんだ」

 EURO決勝の「0-4」のスコアはスペインとの差を世界に知らしめたが、プランデッリと選手たちの間に苦手意識はなかった。

 選手と監督のそんな自信はピッチの上にも反映される。予想に反し、キックオフ直後から試合をコントロールし、好機を作り続けたのはイタリアの方だった。

イタリアが3バックを採用。鋭いカウンターはスペインを驚愕させた。

 イタリアは今大会初めて3バックでスタートする。

 スペインの1トップ、トーレスにはバルザーリ、ボヌッチ、キエッリーニの3人が対応し、その前にはデロッシとピルロのプレーメーカーを置いた。2列目のカンドレーバとマルキージオの守備意識も高く、スペインは普段イニエスタやシルバが使う中央の隙間を見つけることができない。

 イタリアはスペースを埋め、ボール奪取後には素早い攻めを繰り返した。ポイントとなったのは、サイドに張ったマッジョとジャッケリーニのダイナミックな動きだ。

 特に右サイドのマッジョは、ジョルディ・アルバの外から中央へ走り込んで、2度の大きな決定機を迎えている。いずれもカシージャスが好セーブしているが、彼を使った攻めはイタリアにとって最も効果的なものになっていた。クロスからもチャンスを生むなど、イタリアは積極的にマッジョを使うという意思が統一されていた。

【次ページ】 スペインの強みを消すことに成功したプランデッリ監督。

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