スペイン、イタリア両監督が見せた世界最先端の采配。

　それ以外で両監督が見せた采配も、最先端のものだった。

　プランデッリは後半からデロッシをリベロのポジションに置き、その前にピルロとモントリーボを置く、プレーメーカーを3人並べる形をとった。相手のマークをピルロに絞らせないための対策でもある。

　パスの出し手が多かったことを考えても、イタリアはやはりバロテッリの不在が響いた。ボールも収められ、個人でも打開できる彼が最前線にいれば、また違った展開になっていただろう。

　一方でデルボスケは延長戦で、守備的MFのハビエル・マルティネスをCFで起用している。

「フィジカルもあり、自陣から相手陣内まで走りきることもできる。この展開ではストライカーよりもそういった選手が必要だった」と話している。

　一度も試したことのないこの策は試合後、スペイン人記者につつかれていたが、中盤の守備面を考えると、リスクを減らす意味でも機能していたといえる。

　選手交代や、ポジション変更を交えながら戦った120分間には、監督たちのアイデアがたっぷりと詰まっていた。

「突破に値したのはイタリアだったと思っている」

　延長戦では疲労からイタリアのリズムが落ち、スペインが一方的に攻める展開になったが、伝統というべきか、イタリアの最後のところでの踏ん張りはネットを揺らさせなかった。

　PK戦も7人目まで決着がつかない、すべてにおいて拮抗したゲームだった。

　終了間際の猛攻に耐えたキエッリーニは「突破に値したのはイタリアだったと思っている」と自慢げに語っている。「来年またブラジルに戻ってくるよ。スペインも倒せるんだ」と付け加えることも忘れなかった。

　スペインとイタリア、どちらが決勝に進出していてもおかしくはなかった。

　イタリアはチャンスの数では上回ってさえいたかもしれない。

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