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関東勢優位が続く都市対抗野球で、
JR九州が見せた“最高の試合”。
text by
小関順二Junji Koseki
photograph bySPORTS NIPPON
posted2010/09/08 10:30
9月5日、都市対抗野球準々決勝のNTT東日本vs.JR九州戦。9回裏1死満塁、JR九州・藤島琢哉外野手がスクイズを外されるが、その隙をついて三塁走者代走・田中允信外野手がサヨナラのホームインを決めた。JR九州は2試合連続のサヨナラ勝ちでベスト4進出
社会人野球の晴れ舞台、都市対抗で今季最高と言ってもいい試合を見た。
その話に行く前に、社会人野球界を覆う“関東勢優位”について話したい。2005年以降の都市対抗ベスト8進出チームは次の通りだ。
'05年……日立製作所、日産自動車、JR九州、ホンダ、三菱ふそう川崎、日本通運、
NTT東日本、住友金属鹿島
'06年……ヤマハ、JR東日本、日産自動車、JFE東日本、三菱ふそう川崎、日本通運、
TDK、ホンダ
'07年……富士重工業、鷺宮製作所、JR東日本、王子製紙、東芝、松下電器、JR北海道、
トヨタ自動車
'08年……JFE東日本、新日本石油ENEOS、Honda(旧ホンダ)、JFE西日本、鷺宮製作所、
王子製紙、富士重工業、松下電器
'09年……トヨタ自動車、東京ガス、ヤマハ、日産自動車、日立製作所、NTT東日本、
東芝、Honda
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関東勢の優位がひと目でわかるが、社会人野球に詳しくない人もいると思うので関東勢以外のチームの名前を各年ごとに挙げていこう。
'05年……JR九州
'06年……ヤマハ、TDK
'07年……王子製紙、松下電器、JR北海道、トヨタ自動車
'08年……JFE西日本、王子製紙、松下電器
'09年……トヨタ自動車、ヤマハ
関東勢優位が続く近年の都市対抗。
過去5年のベスト8、のべ40チームの中で関東勢以外のチームはわずかに12。関東勢がいかに優位を保っているかおわかりいただけると思う。'05年以前はどうだったのかと言うと、関東勢以外のベスト8進出チームは'04年=5、'03年=4、'02年=6、'01年=6。要するに、関東勢が極端に優勢なのは'05年以降だということがわかる。
過去10年まで遡って何があったのか、言うまでもなく現在も日本中を覆っている不況を考えないわけにはいかない。企業チームの休・廃部が相次ぎ、全体でみれば111あった企業チームは83にまで減った。残存率75%である(日本野球連盟ホームページ、「加盟チーム分布・推移」を参照)。
2000年 → 2010年 | 残存率 | |
---|---|---|
北海道 | 6 → 2 | 33% |
東北 | 16 → 10 | 63% |
北信越 | 4 → 4 | 100% |
関東 | 25 → 20 | 80% |
東海 | 16 → 13 | 81% |
近畿 | 19 → 12 | 63% |
中国 | 14 → 8 | 57% |
四国 | 2 → 2 | 100% |
九州 | 9 → 12 | 133% |
この不況の中にあって残存率、加盟数で頑張っているのが関東であることは一目瞭然。野球技術の指導力以上に経済力がモノを言う現実は寂しい限りだが、最初に書いた「今季最高と言ってもいい試合」は、経済力や過去の実績をみごとに吹き飛ばしてくれた。