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W杯最終予選、ドーハのイラク戦で
ザッケローニの背中は何を語ったか。 

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戸塚啓

戸塚啓Kei Totsuka

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2013/06/13 10:31

W杯最終予選、ドーハのイラク戦でザッケローニの背中は何を語ったか。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

試合後、ザッケローニ監督は、4日後に迫ったブラジル戦については「これから15時間くらいフライト時間があるので、そこで考えたい」と語った。

 いつか見た光景だな、と思っていた。記者席からあおぐザックことアルベルト・ザッケローニ監督の背中に、既視感が漂っていた。

 6月11日のイラク戦が行われたアル・アラビスタジアムは、メインスタンドとピッチの距離が近い。記者席の最前列から10メートルほど先にベンチがあり、僕らのほぼ目の前が日本側である。

 先発メンバーの入場に先立って、控え選手がベンチに腰を下ろす。ほとんどの選手が白いユニフォームに着替えているなかで、ベンチの右端に座った本田圭佑は黄色い練習着を着たままだ。ウォーミングアップは通常どおりこなしたが、今日は使われないであろうことが想像できる。

試合前からあちらこちらで日本語が飛び交う。

 この試合はイラクのホームゲームだが、バクダッドなどからサポーターは押しかけていない。メインスタンドとその右側のコーナーの延長線上は、試合前からあちらこちらで日本語が飛び交っていた。イラク国旗がひろげられたバックスタンドは、キックオフ前の時点で93人の観客しかいなかった。

 両チームのサポーターが声援を浴びせ合うわけではないから、監督や選手の声が記者席まで届く。選手より手前にいるザックの声は、とりわけ聞き取りやすい。

 試合が始まると、ザックはテクニカルエリアへ出ていく。メインスタンドから見て右側のベンチでは、左前が定位置だ。

 序盤から落ち着きがない。ポケットに手を突っ込んだり、腕組みをしたり、左手をあごのあたりへ持っていったりする。日本のパスやシュートの行方を悔やむのではなく、イラクが繰り出すカウンターや日本のパス回しが、イタリア人指揮官を苛立たせていた。

 16分には両手を拡げて声を漏らした。ザックの視線の先では、長友佑都がバックパスしたボールがGK川島永嗣へ下がった。5月30日のブルガリア戦でも散見した光景だ。

 攻撃につながるポゼッションができないことに、ザックは歯痒さをあらわす。選手の名前を大声で呼び、イタリア語で指示を出す。選手は手をあげて理解したとの意思表示をするが、ゲームの内容はなかなか改善されない。

【次ページ】 記憶の中からよみがえるアジアカップ、ヨルダン戦。

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