フットボール“新語録”BACK NUMBER

カタールW杯の影響がJリーグにも!?
欧州サッカー“春秋制”移行論の真相。 

text by

木崎伸也

木崎伸也Shinya Kizaki

PROFILE

photograph byGetty Images

posted2013/05/03 08:01

カタールW杯の影響がJリーグにも!?欧州サッカー“春秋制”移行論の真相。<Number Web> photograph by Getty Images

現役時代はバイエルン・ミュンヘンやレアル・マドリーで主に左サイドバックとして活躍したパウル・ブライトナー。1974年西ドイツW杯で優勝を経験、1982年スペインW杯では主将としてチームを準優勝へと導いた。

「ヨーロッパにおけるリーグの春秋制への移行は、 賛成している国がある一方で、イタリア、スペイン、ポルトガルは 『無理だ』と言っています」

パウル・ブライトナー(バイエルン・ミュンヘンのアンバサダー)

 4月中旬、都内の某所でバイエルン・ミュンヘンのアンバサダー、パウル・ブライトナーを囲む会が行なわれた。

 この'74年の西ドイツW杯王者は、今夏にミュンヘンで開催される「バイエルン・ユース杯」の選考会を宮城県塩釜で行なうために来日。それに合わせて日本人ジャーナリストが招待され、ブライトナーから話を聞く場が設けられたのだった。

「カタールW杯のためにシーズン制の議論を始めました」

 その中で最も盛り上がったのは'74年W杯決勝、西ドイツ対オランダの前半25分にブライトナーがPKを決めたときのエピソードだったが(当時22歳のブライトナーはチームメイトの制止を振り切ってPKを蹴った。本人によれば「そのときの記憶がない」という)、その次に盛り上がったのが「シーズンの春秋制への移行問題」だった。

ADVERTISEMENT

――ヨーロッパでリーグの開催時期を“秋春”から“春秋”に移行する議論があると聞いているが、実際はどうなのか?

 会場からそんな質問が出ると、ブライトナーはゆっくりとうなずき、丁寧に説明し始めた。

「今、ヨーロッパでは、シーズンを3月に始めて、11月下旬もしくは12月上旬に終えるという新たなシーズン制の議論があります。それはなぜかというと、2022年W杯がカタールで開催されるからです。カタールで夏にサッカーをやるのは厳しく、W杯を冬(2022年の年末)に開催することが検討されている。私たちは現在のヨーロッパのサッカーカレンダーに十分満足していますが、カタールW杯のためにシーズン制の議論を始めました」

 これまでヨーロッパ(北欧の一部を除く)では、8月から5月にかけてシーズンを行なう“秋春制”が採用されてきた。だが、カタールW杯を冬に開催する可能性が検討され始めたことを受けて、ヨーロッパのシーズンを3月から12月の“春秋制”に変更する案が浮上したのだ。

【次ページ】 伊、西、葡、南米諸国は移行に反対だが……。

1 2 3 NEXT
#パウル・ブライトナー
#バイエルン
#カタールW杯
#ワールドカップ

海外サッカーの前後の記事

ページトップ