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ドルトムントを去るゲッツェは、
“バイエルンのメッシ”になれるか!?
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAP/AFLO
posted2013/05/03 08:02
CL準決勝ではゲッツェのバイエルン移籍報道の影響もなく、ドルトムントはレアル・マドリーを2試合トータルで4-3で下し、決勝進出を決めた。バイエルンもバルセロナを合計7-0で下し、ドイツ勢同士のCL決勝が実現した。
ドルトムントとバイエルンがCL決勝に進み、史上初のドイツ勢による決勝戦が実現した。
そんなタイミングに合わせたかのように、1人の選手が大きな決断をした。よりによって、ドルトムントからバイエルンへと今シーズン終了後に移籍するというのだ。
バイエルンとドルトムントのCLでの大躍進は、ドイツでも大きな話題になっている。すでに優勝の決まったブンデスリーガはそっちのけで、連日のようにCLの話題がテレビ、新聞、雑誌をにぎわせる。『スポーツビルト』誌のように、CLの準決勝の日程にあわせて、一時的に発売日を変更する雑誌まで出てきた。
そして、この一連の報道をより過熱させていたのが、ドルトムントのエースであるゲッツェのバイエルン移籍のニュースだ。
4月23日、CL準決勝ファーストレグの1日目、バイエルンとバルセロナの試合が行なわれる日に『ビルト』紙が、ゲッツェが来季からバイエルンに移籍することが決まったとスクープしたのだ。
電撃移籍の布石を固めた代理人シュトゥルト氏の辣腕。
昨年3月、ドルトムントとゲッツェは2016年6月30日まで契約延長をすることに合意したばかり。それから約1年、3700万ユーロ(約48億円 1ユーロ=130円で計算。以下同)の違約金と引き換えに、2013年7月1日からゲッツェはバイエルンに籍を移すことになった。
昨年の契約延長の際に、2013年7月1日以降は、3700万ユーロを支払うクラブが現れれば、ドルトムントはゲッツェの退団を拒否できないという、いわゆる契約解除条項が設けられたからこそ、世紀の移籍劇は実現した。
そして、この移籍劇を実現させたのが、フォルカー・シュトゥルトという代理人だ。マーチャンダイジングやイベント業務を中心に扱う会社で働いていた2006年、ドイツW杯の際に車に取り付ける国旗を販売して財を成し、代理人業務は2008年8月にドルトムントからハンブルガーSVにペトリッチ(現在はフルアム所属)を移籍させたことをきっかけにスタートさせた。
現在は、ゲッツェの他に、ドルトムントのロイスやバイエルンのクロース、さらにシャルケのキャプテンであるヘベデスなどの代理人を務めている。こうした名前だけを見ても、彼がいかに優秀な代理人なのかは明らかだ。