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チェルシーCL制覇功労者も解任!
“嫌われ者”ベニテス新監督の評判。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2012/12/07 10:30

チェルシーCL制覇功労者も解任!“嫌われ者”ベニテス新監督の評判。<Number Web> photograph by Getty Images

初采配となった13節マンチェスター・シティ戦でベンチから指示を出すベニテス。昇格組のウェストハムに逆転負けを喫するなど、就任からリーグ戦3試合で2分1敗とチームの調子はなかなか上がらない。

トーレスの蘇生がサポーターの信頼を勝ち得る早道だ。

 初采配となった11月25日のマンチェスター・シティ戦(0-0)。満員のスタンフォード・ブリッジには、キックオフ前からブーイングがこだました。試合中には、「ベニテスよ、とっとと失せろ」の大合唱。『ラファ更迭』と書かれた、プラカードや垂れ幕を持ち込んだ者もいる。ベニテスが、スタンドの「4万人」を「12人目」として味方につけるためには、同じ元リバプールでも、ファンが辛抱強く応援している、フェルナンド・トーレスを蘇生させて勝利を重ねる他にないだろう。

 昨季終了時までの移籍後1年半で12得点にとどまっているストライカーは、自身が「ベストを引き出せるのはベニテスしかいない」と言う指揮官を得たことで、本領発揮へのモチベーションが高まる反面、プレッシャーも最大限に高まった。競争相手がいない今季のFW事情は、巷で「オーナーによる特別扱い」の証拠と見られている。

 前監督の解雇は、直前のCLでトーレスを先発から外したことが理由の1つと言われる。そして、移籍以来4人目となる監督に、「プレミア最高のCF」と言われたリバプール時代の恩師が迎えられたことで、今後も不振が続けば、いよいよオーナーも匙を投げるとの見方が強まった。

 ベニテス体制での初戦、ボールが足につかなかったトーレスのタッチは、力みと焦りを感じさせた。続く28日のフルアム戦(0-0)でも、両手を広げて得点を祝う姿ではなく、チャンスを逃して両手で顔を覆う姿しか目撃できなかった。振り向きざまのシュートが相手GKの正面をついた30分と、胸トラップからのボレーがDFにクリアされた79分、スタンドから漏れた溜息の大きさこそは、ファンが彼の復活を望んで止まない証拠だ。

堅守と連係を重視するベニテスの戦術はトーレス向き。

 そこで、チェルシーとの遺恨が生まれたリバプール時代ではなく、その前のバレンシア時代のベニテスを思い起こせば、一筋の光明が差し込む。10年前、就任1年目にしてリーグ優勝を果たしたベニテスのバレンシアは、堅守と連係を重んじる、シンプルだが見応えのあるサッカーをする集団だった。基本システムは、今季のチェルシーと同じ4-2-3-1。ダブルボランチを含む後方の人員は、「まずは守備」の意識で、リーグ最少失点で02年のリーガ・エスパニョーラ王者を支えた。奪ったボールは、素早く前線に繋がれ、トップ下のパブロ・アイマール(現ベンフィカ)を中心に得点機が生まれた。

 ベニテスは堅実派だ。チェルシーの2列目に並ぶエデン・アザール、オスカル、フアン・マタの3名にも、組織を意識させるだろう。彼らの自由度は減るが、執拗なフォアチェックから、ショートカウンターを繰り返す攻撃は、ポゼッション重視の遅攻よりも、速攻のフィニッシュを好むトーレスに向いている。近距離から咄嗟に送られたラストパスには、直感的に反応できることから、自信を落として迷いが生じているCFとしても好都合だ。

【次ページ】 「バルセロナ化」を否定し、守備面は改善の兆しも。

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