オリンピックへの道BACK NUMBER
五輪逃した男子バレーに漂う停滞感。
リオへ向けた体制作りが急務な理由。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byKyodo News
posted2012/09/11 10:30
最終予選の最終日、イランに完敗し、うなだれる選手たち。試合前に、オーストラリアがアジア枠での五輪出場を決めていたため、五輪出場権の可能性を断たれた中での試合だった。
最終予選と同じ選手達で臨んだワールドリーグで全敗。
また、協会幹部は、最終予選の全日本が20代半ば以上のメンバー構成であることを念頭に、こう語っていた。
「海外は20代前半の選手がたくさんいましたが、日本は若手の台頭がありませんでした」
たしかに、若手はいなかった。しかしそれは、若い選手を育てていくのも決して簡単な話ではないということを物語っている。
つまり、この2つの話に共通しているのは、チームを立て直していくには相当の時間をかけなければいけないということだ。
にもかかわらず、最終予選後の時間は停滞している感がある。
そう感じさせたもののひとつが、5月から6月末に、最終予選を挟んで行なわれたワールドリーグでの戦いである。
この大会で、ロンドン五輪前ということもあってその成績がクローズアップされることはなかったが、全日本男子は12戦全敗に終わっている。
相手国の中には若手主体で臨んできたチームもある中で1勝もできなかったことも残念だが、それよりも不思議だったのは、最終予選敗退後のワールドリーグも、最終予選に出場した選手たちで臨んだことだ。
植田監督の去就は? 4年後に向けての体制は定まらないまま……。
オリンピック出場を逃したあとだ。彼らもどういう目標で戦えばよいか、モチベーションの保ち方が難しかっただろう。
ましてや、最終予選のあと、若手の育成などを課題として挙げたのであれば、4年後に向けて、異なったメンバー編成で臨む選択肢もあったように思える。だから、正直、「もったいなかった」と感じるところがある。
また、植田監督は、最終予選後に辞任を示唆する言葉を口にし、協会に辞表を提出したというが、現段階では、監督として続投するのか辞任するのか、正式には決まっていない。だから9月7、9日に行なわれた来年の「ワールドリーグ」の予選も、諸隈直樹氏が監督代行という形で指揮を執った。4年後へ向けての体制が定まっていないということである。
繰り返しになるが、海外のチームに比べて、身長で劣るのは事実だ。
しかし、その差を埋めるためにやれる努力、向上すべきところはまだまだある。
そのためには、時間が必要だ。だからこそ、少しでも早く、4年後へと本格的にスタートを切る必要がある。