ロンドン五輪EXPRESSBACK NUMBER
女子バレー、韓国破り悲願のメダル。
快挙をもたらした完璧なプランとは。
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byAsami Enomoto/JMPA
posted2012/08/12 11:50
3-0で韓国を破り、女子バレー28年ぶりの銅メダルを獲得した眞鍋ジャパン。試合後のコートには、両手で顔を覆いむせび泣く選手たちの姿があった。
待ち焦がれてきた五輪のメダル。
迫田さおりが最後のスパイクを決め、それを手中にした瞬間、ベンチの選手、スタッフが一気にコートになだれ込んだ。笑顔と嬉し涙が交錯する。1984年のロサンゼルス五輪以来、28年ぶりに、日本女子バレーは銅メダルを獲得した。
しばらくして歓喜の輪から離れたアナリストの渡辺啓太は、いつもの冷静さを取り戻し、韓国との3位決定戦を分析した。
「こちらのミスが出たところで点差が縮まったり、苦しい展開になることもありましたけど、チームで最初にたてたゲームプランの中で試合が進んで、想定の範囲外のことは起きませんでした」
日本はまず木村沙織がサーブで崩して、出だしに4-0とリードを奪った。しかし日本は決定率が上がらず追い上げられ、韓国のエース、キム・ヨンギョンにスパイクを決められて15-16と逆転を許す。その苦境で、颯爽とピンチを救ったのが迫田だった。高い打点とスピードを活かしたスパイクを次々に決め、日本が逆転。主将の荒木絵里香の効果的なBクイックも決まり、終盤へ。最後はサーブで崩してリードを広げ、第1セットをものにした。
苦しい展開となった第3セットで気を吐いた木村。
この日は木村、荒木を中心にサーブが機能し、狙いを定めたハン・ソンイを崩して韓国に速いコンビネーションを許さなかった。第2セットの出だしも、木村の2本のサービスエースを含む5連続得点で先行する。このセットも迫田の勢いは止まらず、16-13で二度目のタイムアウト。しかしここから日本はブロックに捕まって追い上げられる。キム・ヨンギョンの強烈なスパイクでデュースに持ち込まれるが、最後は韓国にミスが出て26-24で逃げ切った。
第3セットは序盤に迫田がブロックされ、サーブレシーブを崩される苦しい展開となるが、ここで気を吐いたのが日本のエース、木村だった。レフトからスパイクを立て続けに決めて同点に追いつくと、韓国にミスが出て逆転。韓国も食らいつくが、最後は若い新鍋理沙が思い切りのいいスパイクでラリーを制し、最後はこの日のラッキーガール、迫田が、ブロンズメダルポイントを決めた。