オリンピックへの道BACK NUMBER
五輪逃した男子バレーに漂う停滞感。
リオへ向けた体制作りが急務な理由。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byKyodo News
posted2012/09/11 10:30
最終予選の最終日、イランに完敗し、うなだれる選手たち。試合前に、オーストラリアがアジア枠での五輪出場を決めていたため、五輪出場権の可能性を断たれた中での試合だった。
ロンドン五輪からひと月。大会を経て、休養をとる選手、休むことなく次の大会に出場する選手、進退を考えている選手、それぞれに時間を過ごしている。
オリンピックに出場した選手ばかりではない。ロンドンに行けなかった選手の中にもまた、進む道を今なお考えている選手がいれば、リベンジを誓い、4年後へと向かっている選手がいる。
その中で気になるのが、バレーボール全日本男子の動向だ。
ロンドン五輪で28年ぶりのメダルとなる銅メダルを獲得した女子とは対照的に、出場権を逃した男子は、2016年のリオデジャネイロ五輪へと視線を切り替え、新たなスタートを切るはずだった。
だが、今なお、その道筋はあいまいさが漂う。まだリオへ向けての本格的なスタートを切れていないのではないか。
そこに懸念を抱く理由は、全日本男子の立ち位置にある。
そもそも、身長差を埋めるために万策を尽くしてきたのか?
6月の世界最終予選で、全日本男子は、4位で五輪切符を獲得できなかった。大会を終えて、植田辰哉監督は、こう振り返っている。
「身長が2mを超える選手は山村宏太しかいません。オーストラリアやイランには大勢いるので、今後勝つチームになるには、大きいチームになることが必要です。発掘からやっていかなければなりません」
日本が海外のチームに比べて、平均身長で劣るのはたしかだ。だがそれは今日にかぎったことではなく、宿命的なことである。そうである以上、海外勢と戦うには、彼我の身長差を踏まえた上でチームの方向性を定め、強化を図らなければならない。つまり、身長差をどう埋めるかを踏まえたところからチーム作りはスタートしなければいけない以上、敗退後に敗因のひとつに上げるのはやや疑問を感じる。
そもそも、最終予選の戦いぶりからは、身長差を埋めるために万策を尽くしていたのかという思いに駆られるところもある。例えば、相手との身長差に左右されることのないサーブや、アタッカーのコースの打ち分けなどまだ改善の余地はあったように思う。
それは置いても、宿命的であるものを埋める、そのために新たな選手を発掘をするというのは、4年かけても時間が足りるか足りないか、ぎりぎりのことではないか。