オリンピックへの道BACK NUMBER
体操の五輪代表で田中理恵らが競う。
ホープ笹田夏実は悲願を達成するか?
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byHiroyuki Nakamura
posted2012/03/31 08:01
初の代表入りを目指す笹田夏実。昨年11月の全日本団体・種目別選手権では、段違い平行棒と平均台で2冠を獲得した。1980年モスクワ五輪で幻の代表だった母・弥生さん(旧姓加納)の無念を晴らすことはできるのか。
オリンピックイヤーも春を迎え、競泳、陸上など、各競技の五輪代表選考が本格化する。
そのひとつに体操がある。第二次選考会と位置づけられた4月7、8日の全日本選手権と、この大会で上位に入った選手が出場する最終選考会である5月4日からのNHK杯、両大会の合計成績で、五輪代表が決定することになる。
すでに五輪代表に内定している内村航平を除き、出場枠は男子4名、女子5名。とくに激しい争いとなりそうなのが女子だ。
世界選手権が行なわれた昨年は、NHK杯を経て8名を日本代表候補として選び、世界選手権前月の最終試技会まで競わせる形式を採った。そして日本代表には、鶴見虹子、田中理恵、新竹優子、美濃部ゆう、飯塚友海、寺本明日香の6人が選ばれた。大会では、予選で飯塚が怪我をしたため、団体決勝では飯塚にかわって、補欠に選ばれていた大島杏子が出場している。
オリンピックの代表争いは、鶴見、田中をはじめとする世界選手権出場組が中心にはなるが、出られなかった選手たちも虎視眈々と五輪代表を狙っている。
16歳のホープ、笹田夏実は五輪代表になれるか?
まず注目されるのが、16歳の笹田夏実である。
笹田が脚光を浴びたのは、14歳で出場した2010年の全日本選手権だ。この大会で、鶴見に次ぐ2位となり、2日目だけの成績ではトップに立ったのだ。年齢制限のため、その年の世界選手権には出場していない。
15歳になり、晴れて出場資格の得られた昨年は、故障でNHK杯を欠場し、世界選手権の日本代表になることはできなかった。
その後復調し、昨年11月の全日本団体・種目別選手権では、高難度の技を決めて、段違い平行棒、平均台の2種目を制覇。あらためてポテンシャルの高さを見せた。