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体操の五輪代表で田中理恵らが競う。
ホープ笹田夏実は悲願を達成するか? 

text by

松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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photograph byHiroyuki Nakamura

posted2012/03/31 08:01

体操の五輪代表で田中理恵らが競う。ホープ笹田夏実は悲願を達成するか?<Number Web> photograph by Hiroyuki Nakamura

初の代表入りを目指す笹田夏実。昨年11月の全日本団体・種目別選手権では、段違い平行棒と平均台で2冠を獲得した。1980年モスクワ五輪で幻の代表だった母・弥生さん(旧姓加納)の無念を晴らすことはできるのか。

母娘の2代にわたる、五輪代表への切なる願い……。

 笹田はオリンピックへの意気込みをこう語る。

「5枠の中でも、上の方に入って出たいです」

 そこにこめられているオリンピック出場への強い意志は、昨年、世界選手権の代表を逃した悔しさからばかりではない。笹田の母、(旧姓加納)弥生さんは、1980年のモスクワ五輪代表に選ばれるなど、トップクラスとして活躍した選手だった。だが、日本がオリンピックをボイコットしたため、幻の五輪代表に終わっている。

 笹田は、母が「(出られなかったことを)今思うと悔しい」と話すのを聞いたことがあるという。その言葉を聞いて、

「オリンピックへの思いが強くなりました」

 と語っている。

 昨年、世界選手権日本代表候補の8名に名を連ねながら、あと一歩のところで代表を逃した19歳の山岸もまた、オリンピックへの強い思いをいだく事情がある。山岸は、2007年の世界選手権で日本代表に選ばれながら、現地入り後、調子が上がらなかったことから補欠にまわることになった。そのリベンジもあって是が非でも出場したかった北京五輪では、選考会を怪我の悪化で途中棄権し、代表入りを逃した。今度こそ、オリンピックの舞台に立って、これまでの悔しさを晴らしたいと思っている。

24歳でようやく大舞台に手が届くところまで来た田中理恵。

 むろん、彼女たちばかりではなく、一人ひとりが、オリンピックへの思いを秘めているだろう。

 笹田と同学年で、世界選手権で活躍した寺本や、世界選手権では大会中の故障に泣いた飯塚も、笹田と同様、高難度の技を武器に、初めてのオリンピック出場を狙っている。

 主軸の一人である田中も、24歳でようやく大舞台に手が届きそうなところにたどり着いた。

 そして北京五輪に出場した鶴見、美濃部は前回以上の成績を目標に戦ってきたし、アテネ、北京に続く3度目の出場をかける大島も健在だ。

 選考会は、個々にオリンピックへの強い気持ちをかかえる選手たちがしのぎを削る場となる。

 そしてしのぎを削る戦いが、日本のレベルの向上にもつながることになる。

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