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ダルビッシュ移籍で斎藤佑樹が覚醒!?
早実の恩師が「今季10勝」を予想。 

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中村計

中村計Kei Nakamura

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photograph byMiki Fukano

posted2012/01/26 10:30

ダルビッシュ移籍で斎藤佑樹が覚醒!?早実の恩師が「今季10勝」を予想。<Number Web> photograph by Miki Fukano

昨年の春季キャンプでのダルビッシュと斎藤。ダルビッシュという日本球界史上屈指の投手と共に戦った数カ月は、斎藤に大きな影響を与えたことは間違いない

 大きな穴。

 チームという組織は不思議なもので、それが必ずしもマイナスにばかりなるとは限らない。

 日本ハムから、ダルビッシュがいなくなり、いちばん楽しみなこと。それは昨季、6勝に終わった斎藤佑樹の成長だ。

 昨年末、早実時代の恩師、和泉実と会う機会があった。そして、自然と、来年の斎藤はどうかという話題になった。

 和泉はすかさず言った。

「俺はやると思うよ」

 その根拠は、「ダルビッシュがいなくなるから」。

 そうなのだ。やはり、斎藤が真価を発揮するのは、そういうときなのだ。

ダルビッシュの移籍が斎藤の成長にプラスとなる理由とは?

 高校時代、早実には斎藤以外、投げられる投手がいなかった。だからこそ、ペース配分を覚え、そのことで力を抜くコツを修得し、それがさらに伸びのある真っ直ぐを生んだ。

 そして2006年夏、決勝再試合を含め、たったひとりで7試合を投げ抜くという離れ業をやってのけたのだ。しかも、それまで決勝戦であれだけピンピンしていた投手は見たことがなかった。

 実は1回戦、13-1と得点差がついたこともあり、9回裏に塚田晃平(広島・育成)がマウンドに上がったのだが、塚田はワンアウトも取れず、2四球で再び斎藤と交代している。

 和泉は「あのとき、塚田がこの大会では使えないことがわかった。それも斎藤にプラスに作用した」と振り返る。

 逆に、日本ハムでの斎藤の扱いは5番目、もしくは6番目の先発投手だった。また、ローテーション上、次戦にダルビッシュの登板が控えていることが多く、斎藤が投げるときは首脳陣も惜しげもなくリリーフ投手を注ぎ込む傾向があった。

 それがマイナスだったというのは言い過ぎだが、斎藤の潜在能力を呼び覚ますという意味では決してプラスではなかったように思う。

 斎藤は意気に感じて投げるタイプだ。頼られれば頼られるほど、強くなる。

【次ページ】 投球フォームの是非を論じてもしょうがないと語る恩師。

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