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ラングニックは指揮官として有能か!?
シャルケにくすぶる空中分解の火種。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byGetty Images
posted2011/08/03 10:30
7月23日に行なわれたドルトムントとのスーパーカップではスコアレスドローの末、PK戦で勝利したシャルケだが、試合内容では防戦一方だった
シャルケは、開幕の2週間前に行なわれたドルトムントとのスーパーカップでPK戦の末に勝利を手にしたものの、試合内容では完敗だった。
ドルトムントの攻撃への対応に追われるばかりで、選手たちに課したプレッシングは機能せず、反撃のチャンスは数回のカウンターとセットプレーくらいだった。最前線にいるフンテラールに良い形でボールが渡ることは数えるほど。ドルトムントの選手たちが試合内容への手ごたえを口にする一方で、シャルケの選手たちにしてみれば、タイトルをとったという事実以外に、光明を見出すのは難しかった。
確かに、昨シーズンの3月21日にラングニックが監督に就任してから、シャルケはCLベスト4進出、ドイツカップ優勝という成績を残したのだが、その過程に目を向けると、ある事実に気がつく。
CLではグループリーグを首位で突破したのも、ベスト8進出を決めたのもマガト元監督のもとでのこと。準決勝進出を決めたインテル戦での勝利はラングニックの功績だが、その1戦以外では彼の功績と呼べるものがない。
ドイツカップでも優勝したとはいえ、準決勝まではマガトのもとで達成したものであり、決勝ではけが人が出て、万全ではなかった2部所属のデュイスブルクと対戦する幸運に恵まれたことも否定できない。
リーグ戦での脆さを露呈したラングニックに批判が集中。
リーグ戦に目を向けると、ラングニック就任後は2勝1分4敗と大きく負け越している。実は、ラングニック監督が就任してから、チームが劇的に変化を遂げたわけではないのだ。
それ故に、リーグ開幕を前にしてメディアの批判の矛先はラングニック監督に集まっている。
バイエルンにノイアーを売却したものの、移籍金の一部は負債の穴埋めに使われて思ったような補強が出来なかったのは事実だ。
「ここまで財政難が深刻だとは思わなかった」
ラングニック監督も頭を抱えていたほど。
それでも、昨季はマインツへのレンタル移籍中にブレイクし、ドイツ代表に選ばれたホルトビーが戻ってきたし、同じくマインツの左サイドバックとして名を上げたフクスを獲得した。まずまずの補強は出来たといえる。