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ラングニックは指揮官として有能か!?
シャルケにくすぶる空中分解の火種。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byGetty Images
posted2011/08/03 10:30
7月23日に行なわれたドルトムントとのスーパーカップではスコアレスドローの末、PK戦で勝利したシャルケだが、試合内容では防戦一方だった
起用法について沈黙を保つラウールの本音は……?
そしてもう一つ。メディアを騒がせているのは、ラウールの処遇についてだ。
ラウール自身は2トップの一角としての起用を望んでいるのだが、与えられているのは4-2-3-1のトップ下のポジションだ。また、今シーズン限りで切れる契約を更新せず、来季はスペインで急速に勢力を拡大しつつあるマラガへ移籍するのではないかと噂されている。
「マラガから正式なオファーなど来ていない」
ラングニックは、噂を一蹴する。
「オーストリアでのキャンプの間に、ラウールとは1時間にわたる濃密な話し合いをしたんだ。その中で彼も言ってくれたよ。『トップ下が僕のポジション。現在の戦術的なトレーニングで良いと思う』とね」
優等生のラウールが、満足に言葉を交わせないドイツメディアに不満を語ることがあるとすれば、別れのときくらいだろう。現時点では、起用法については沈黙を保っているが、この先はどうかわからない。
マニアックなまでの戦術を実行させるために若手を積極起用。
実はラングニックは、チームの若返りを進めている。
開幕戦の予想スタメンのうちで23歳の選手が7人もいる。また、起用される選手たちの大半がドイツ語でコミュニケーションをとる。ドイツ語に不自由するのは、スペイン人のラウールとギリシャ人のパパドプーロスくらいだ。今季はベンチからスタートする内田も、この点で不利だと見る意見もある。
ラングニックがそうした起用にこだわるのは、本人のマニアックなまでの戦術を実行させるためだ。
ただ、「レビアー・スポーツ」紙はこのように伝えている。
「あまりに若い選手が多く、成績が安定しない恐れがある。そして、ラングニックはシステムに対して従順すぎる。果たして、彼が望む戦術に、各選手はフィットするのかどうか。もしも、うまくフィットしないのであれば、ラングニック自身が強欲で、忍耐力のない監督だということになる」
ドルトムントのクロップ監督にライバル心を燃やすが……。
相手ボールへのプレッシングや、現時点でのレギュラーの年齢の若さゆえに、ライバル・ドルトムントのクロップ監督と比較されるが、ラングニックは強がってみせる。
「私はボールに激しくプレッシャーをかけるゾーンディフェンスを、ドイツで最初に採用した監督だ」
スーパーカップでは、“後発”のクロップのサッカーを前に苦しめられたラングニック。果たして、今季はリーグ戦で結果を出すことが出来るのだろうか。