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ラングニックは指揮官として有能か!?
シャルケにくすぶる空中分解の火種。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byGetty Images
posted2011/08/03 10:30
7月23日に行なわれたドルトムントとのスーパーカップではスコアレスドローの末、PK戦で勝利したシャルケだが、試合内容では防戦一方だった
説明なくポジションを奪われた控え選手からは不満が。
だが、ここに来て直面している問題は2つある。
1つ目が、控え選手への配慮のなさ。
昨季はレギュラークラスの選手としてリーグ戦で22試合にプレーしたクルーゲが、メディアに不満をぶちまけた。
「去年は良いシーズンを送れたし、ここまでのトレーニングでも良い状態を保っている。練習試合でチャンスを与えられれば、一生懸命に闘ってきたつもりだ。それでも、監督からは起用されない理由について何の説明もない。そもそも、監督と話すチャンスさえ与えられてないんだ」
昨季は第2GKとしてノイアーを支えたショーバーも、それに続いた。ノイアーの後釜としてフランクフルトからやってきたフェアマンに続く第2GKの座は彼に与えられると見られていたのだが……。
「俺は休暇明けには良い状態でチームに合流したし、本当に良いプレシーズンを送った。確かにフェアマンは正GKにふさわしいけど、他のGKに俺が劣っているとは思えない」
フェアマンが負傷で欠場したドイツカップ1回戦は、若干21歳のウンナーシュタルが出場。ショーバーはベンチから試合を見るだけだった。ちなみに、クルーゲはベンチ入りメンバーからも外れている。
なお、ショーバーは、こんな話も披露している。
「スーパーカップのときなんて、ホテルを出るわずか30分前にベンチ入りメンバーからも外れたって言われたんだぜ。ものすごく驚いた」
選手経験のないラングニックに選手の気持ちはわからない!?
当のラングニック監督はメディアを前に釈明に追われたが、説得力はあまりない。
「不満を口にした二人を起用しないのは、スポーツ面での理由がある。彼らとは十分に話し合った。だから、二人に対して罰金を科すつもりもない。もっとも、選手としての振る舞いに関するルールは各選手に知らしめたがね。まぁ、こういうことが繰り返されるようなら、そのときはそのときだが……」
チームが崩壊するのは、選手たちの胸にたまった小さな不満から。試合に起用しない選手には一言でも声をかければ状況は大きく変わってくるはずだが、それもない。配慮が感じられないのだ。また、メディアに不満をぶちまけた二人に対して、罰金を科しても不思議ではない。もしも、監督に後ろめたいことがないのであれば。
これまでも、たびたびプロ選手としての経験がないために、選手の気持ちを汲み取ることが出来ないと批判されてきたのだが、今季のラングニックのやり方を見る限りは、そうした批判は避けられない。