ロッテは、度会のくじは高坂俊介球団社長が引いて外れ。「外れ1位」で指名した亜細亜大の草加勝投手は中日との一騎打ちとなり、今度は吉井監督が左手で引いたが外れ。さらに「外れの外れ1位」で東洋大・細野晴希投手を入札したが、日本ハムと競合し、吉井監督の右手を伸ばしたクジも外れて3連敗。最後の1球団となって明大の上田希由翔内野手の交渉権を獲得した。

「よく外れました……」と吉井監督は思わず苦笑い。「スカウトの方々がしっかり見てくれているので、こちらからは何もいうことなく。彼らの決めた通りただ引くだけ。迷惑かけましたけどね」とロマンスグレーの頭をかいた。

「外れ1位」亜細亜大・草加勝投手は中日とロッテの一騎打ち。吉井監督は左手で引いたが外れ　©Hideki Sugiyama

「外れの外れ1位」東洋大・細野晴希投手は日本ハムとロッテの競合に。吉井監督はくじを見た瞬間にこの表情　©Hideki Sugiyama

　実はこの度会の指名劇を、くじを引き当てたDeNAの円卓と同様、喜び溢れる表情で見守っていたチームがある。度会の父・博文さんが現役時代にプレーし、現在は球団職員を務める東京ヤクルトスワローズだ。5位に終わった今季の懸案事項だった投手補強優先の編成方針から“父子指名”は叶わなかったが、博文さんと現役時代はチームメートだった高津臣吾監督はじめ、編成やスカウト担当者も子どもの頃からよく知る存在だけに、「3球団競合のドラ1」の光り輝く未来を感無量の面持ちで祝福していたのだ。

「ほぉぉぉ」異色のオリックス

　“音色”の違うどよめきもあった。指名の度に「ほぉぉぉ」という唸り声を浴びたのが、オリックスだ。1巡目でノーマークだった上田西高校の横山聖哉内野手、2巡目には甲子園経験のない聖カタリナ学園・河内康介投手を指名するなど、上位4人が高校生という独自路線。終わってみれば育成も含めた指名選手は、高校生6人、社会人3人、独立リーグ3人で、有望選手がひしめいた大学生の指名はゼロという異色のリストとなった。

オリックスから1位指名を受け、ポーズをとる上田西高の横山聖哉内野手　©KYODO

「狙い通りです。良かったです、みんな残っていて」とほくそ笑んだのは福良淳一GMだ。入団時はドラフト4位指名だったエースの山本由伸はじめ、同6位の山﨑颯一郎、育成出身の宇田川優希、東晃平ら素材の“目利き”には定評があるチームだけに、ファンも「よく知らない選手だけど、オリックスが指名するなら……」と掘り出し物を見るような眼差しを向けていたのが印象的だった。

　抽選に次ぐ抽選。その数は7回と史上最多にのぼった今年のドラフト会議。興奮のドラマの数々はプロ野球ファンの“感嘆詞”に彩られ、登竜門をくぐったスター候補たちの「序章」に書き記された。