プロ野球PRESSBACK NUMBER
甲子園球児の「好きなプロ野球チーム」はどこ? 1位ならずも“巨人の人気が落ちない”理由…カギは「BSテレビ中継」にあった〈ランキング〉
text by
岡野誠Makoto Okano
photograph byHideki Sugiyama
posted2023/04/07 11:03
「巨人の人気は下がった」「テレビの影響力は落ちた」。この定説は本当なのか? 「好きな球団」ランキングから考察する
つまり、昭和と比べれば人気は凋落しているが、「好きな球団」が多様化した令和でも上位を保っている。ちなみに、清原勝児も「巨人」と記入していた。
なぜ、巨人は今も票数を稼げているのか。
キーポイントは全国放送で無料のBS中継数にあるのではないか。
21世紀になって、有料のCSやネット配信を通じて全球団の試合が見られるようになった。しかし、高校球児の家庭が必ずしも加入しているとは限らない。同じ無料でも、民放地上波での全国中継は珍しくなっている。
その状況下で、世帯普及率77.1%(「BS世帯普及率調査」BS民放6社、ビデオリサーチ調べ/2020年4月公表)に上るBSの存在は侮れない。そこで、昨シーズンのBSチャンネル1から12までの中継数を調べると、以下の結果となった(左から順位、回数、全143試合に対する放送率、球団名。放送率は小数点第2位を四捨五入。以下同)。
2022年「BSで試合中継された球団」ランキング
1位:129回 90.2% 巨人
2位:67回 46.9% 阪神
3位タイ:56回 39.2% DeNA
3位タイ:56回 39.2% 楽天
5位:52回 36.4% 日本ハム
6位:51回 35.7% ソフトバンク
7位:49回 34.3% 西武
8位:46回 32.2% ヤクルト
9位:41回 28.7% ロッテ
10位:40回 28.0% 広島
11位:39回 27.3% 中日
12位:33回 23.1% オリックス
※朝日新聞のテレビ欄を参照。中止やノーゲームは除く。サブチャンネルでの放送、リレー中継含む。リモコンのボタン1つで選択できる1から12までのチャンネルを対象とした。
巨人は「BS中継数」で唯一の100試合以上を記録し、圧倒的な1位だった。これが「好きな球団」2位に繋がっているのではないか。NHKや民放の地上波中継を含めれば、“無料全国放送率”はさらに上がる。40年前の昭和と変わらず、現在の令和でも巨人戦はほぼ毎試合、タダで見られるのだ。巨人は12球団で唯一、北海道から九州までの8地区全てでセンバツ球児の票を獲得した。これも「BS中継数」ナンバーワンの効果だろう。
地元で強い「広島」「中日」
中日や広島はBSでの全国放送は少ないが、東海地方や中国地方では地上波テレビやラジオでのローカル中継が頻繁にあり、応援番組も充実している。そのため、地元では高い人気を誇っている。一方、他の地方では票数が伸びていない。広島は41票中24票(58.5%)が中国と四国の票数で、中日は東海と関東を除けばわずか1票しか入らなかった。