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《和田毅×TENTIAL代表中西裕太郎》日米通算165勝。現役22年間の活躍を支えた準備の哲学

posted2026/02/03 11:00

 
《和田毅×TENTIAL代表中西裕太郎》日米通算165勝。現役22年間の活躍を支えた準備の哲学<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

TENTIAL本社で対談をした、和田毅氏(左)と代表の中西裕太郎氏(右)

text by

石井宏美

石井宏美Hiromi Ishii

PROFILE

photograph by

Takuya Sugiyama

――和田さんは2024年シーズンで現役を引退されました。選手時代から休息の重要性に関してはどのような考えを持って実践されてきましたか。

和田 出来るだけ長く野球をやりたい、野球がうまくなりたいという気持ちは常に持ち続けていたので、現役の頃から食生活や睡眠などコンディションを整える工夫はしていました。なかでも特に大切にしていたのが睡眠です。若い頃は毎日9~10時間、ベテランになっても必ず8時間程度は睡眠を取ることを心掛けていました。ただ、昔は布団に入ればすぐに眠りにつけるタイプだったのですが、年齢を重ねるとともに睡眠が浅く、質が落ちていると感じるようになって、眠るためのコンディションをより考えるようになりました。

――トレーニングや試合、長距離移動などで疲労を感じることも多かったと思いますが、どのように対処されていたのでしょうか。

和田 そういった疲労からの回復やパフォーマンスの向上ため、十分な睡眠、栄養、身体のケアは日頃から心がけていました。年齢を重ねると疲労が溜まりやすく、抜けにくくもなるのでウォーミングアップにかける時間などは若い頃に比べて格段に増えたと思います。また日本でもメジャーリーグでプレーしていたころも長距離移動がつきものでした。飛行機内でどう時間を過ごすかなどはよく考えていましたね。ただ、自分の場合はそれに伴う精神的疲労は感じないタイプだったというか、あまり気にしないようにしていましたね。

スポーツの経験を活かして起業を

中西 アスリートにとって睡眠は単なる休息ではなく、パフォーマンスを向上させるためには欠かせないコンディショニングですよね。当社はもともとアスリートやビジネスで挑戦されている方の日常生活をどのように支えられるかというところからスタートし、最初はインソールから始まり、様々な試行錯誤を積み重ねてきました。その過程の中でアスリートやビジネスパーソンの方々は遠征や、出張など多様なストレスやプレッシャーの中で戦っている方が多く、寝つきが悪かったり、朝まで眠れないという人も少なくないと分かったんです。スポーツシーンに限らず、日常生活でもポテンシャルを引き出すための土台となるのは健康です。何かサポートできればという思いが強く、健康課題を解決して人々のポテンシャルを引き出すブランドとして、「TENTIAL」は始まりました。

和田 中西社長も学生時代までスポーツをされていたと伺っています。アスリート時代の経験とビジネスパーソン、両方の立場を経験されているからこそ、スポーツコンディショニングへの思いも強く、それを具現化できたんでしょうね。

中西 最初に飛び込んだのはITの世界だったのですが、そこで気づいたのは意外に自分の体やコンディショニングに向き合っている人が少ないということでした。プロサッカー選手の夢を病気で諦めることになった時、いつかスポーツの経験を活かして起業したいとは思っていたんですが、はからずもそこで健康の重要性を再確認することになったんです。和田さんは22年間の現役生活のなかでコンディショニングの重要性を痛感した出来事や学びとなった経験はありましたか。

和田 2006年にWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)に出場したときや2014年から2シーズン、シカゴ・カブスでプレーしたときですね。アメリカの東海岸と西海岸では3時間時差がありますが、初めて時差の影響で眠れないという経験もしました。アメリカは国土が広いので国内移動でも6時間の長距離フライトがありましたし、試合開始時間も日によってバラバラで。日本でもデーゲームとナイターがあるので時間の調整には慣れているつもりでしたが、当時は本当にきつかったです。世界と戦うためには快適な睡眠を取るための準備が必要なんだとあらためて痛感しましたね。

――そこでコンディショニングの重要性を感じたことはありましたか。

和田 それはなかったんですが、この時間までに寝ないといけないとか、移動した後の最初の試合で登板だなとか、飛行機の中でどう過ごそうかなとか、常にいろいろ考えてはいましたね。当時はスーツ移動が一般的でまだ機内でリカバリーウェアやジャージに着替える人もいませんでした。4~6時間のフライトもスーツのまま寝ていたんです。そこで柔らかい素材のスーツにしたり、可能な範囲内で工夫するようにはしていました。

中西 そういうお話を聞くと私たちは一つでもそういったストレスをなくすことがテーマだとあらためて感じます。当時は快適な睡眠を取るために、具体的にはどのような準備や工夫をされていたんですか。

和田 当時はまだTENTIALさんの「BAKUNE」シリーズもありませんでしたし、そもそもリカバリーウェアを着用するという選択肢や考えがありませんでした。ただ、やはり睡眠を欠かすことはできないので、チームメイトが実践していることを真似てみるなど試行錯誤していましたね。

中西 アスリートや、第一線で挑戦しているビジネスパーソンの方々の中には、当時の和田さんのように悩みを抱えている方が本当に多いです。我々はそういった方々、問題と必死に向き合っていきたいと考えています。

引退まで保ち続けた強い探究心

――そもそもアスリートと一般のユーザーの方とでは眠りや準備に違いはあるのですか。

中西 限られた時間内でパフォーマンスを発揮しなければならないという点ではアスリートもビジネスパーソンも同じですが、特にアスリートの場合は1時間、2時間という限られた時間の中で明確なパフォーマンスが求められます。より自分の体が資本だと言えますし、体への向き合い方もより細部までケアをされているという印象が強いですね。和田さんは現役時代にどのようなルーティンを持たれていましたか。

和田 基本的には起床後に朝食を取って、昼食の後、球場へ向かっていました。そこから準備に入って軽食を取った後に準備をして登板、という流れでしたね。デーゲームかナイトゲームかによって若干ルーティンに変更はありますが、この流れは基本的に変えないよう、なるべく同じルーティンで準備することを心掛けていました。ナイトゲームに登板した後は眠いのですが体が火照ってなかなか寝付けないことも多かったです。そこで無理に寝ようとすると逆に眠れなくなってしまうので、そういう時は球場に設置されている水風呂に入って体の火照りを取ったり、家に帰ってからもう一度、温めのお湯に浸かったりして体を落ち着かせていました。あとはヒーリングミュージックを聴いて心を落ち着かせたり。とにかく副交感神経を優位にすることを心掛けていました。

 若い頃はカーボローディングを実践していたのですが、年齢とともに体に負担がかかっていることが分かったので辞めました。こだわっていたのは水分補給で、引退するまで試合中にどのようなものを飲んだらいいのか模索し続けました。

中西 ご自身のパフォーマンスを最大限に発揮するために非常に高い探求心を持って取り組んでいたからこそ、22年もの長い間、現役生活を継続できたんですね。我々のようなビジネスパーソンも、和田さんのメンテナンス法やコンディショニング術などご自身の体と向き合う姿勢から見習う部分が多いです。引退されてからはどのような変化がありますか。

和田 以前はパフォーマンスのために食事や睡眠を取っていましたが、今は目的が健康のためになっていますね。睡眠時間の確保や質の追求はもちろんですが、食事の量、アルコールの摂取量やタイミングも模索しています。いろいろな方とお会いする機会も多いので、現役の頃のシーズン中と変わらないよう常に自分の体と対話するようにしています。

中西 私も若い頃に病気をしたことで、健康であることがいかに重要かを痛感しました。どれほど大きな目標を掲げても、心と体が整っていなければ挑戦することはできません。自分の体に向き合いながら得る感覚と、それにデータなどロジカルにアプローチすることが大切だなと考えています。どうしたら健康でパフォーマンスを上げられるかというところは興味がある領域ですね。

――長く現役生活を続けられた和田さんの姿は若手選手の最高のお手本だと思います。若い選手に伝えたい準備の大切さはどんなことでしょうか。

和田 練習やトレーニングは当然大事ですが、それ以前にコンディショニングができていないと怪我にもつながりますし、ポテンシャルがあってもパフォーマンスにつながりません。若い選手たちには練習やトレーニング同様にコンディショニングを重要視してもらいたいです。

中西 現役時代は若手選手にどのようなアドバイスを送っていたんですか。

和田 実は疲れているのに眠れないという選手がたくさんいたんです。よく「和田さん、眠るために何かしてますか?」と聞かれました。その時は自分の睡眠時のルーティンなどを伝えていました。常に最高の状態で試合や練習に臨むためにも、その日の疲れはできるだけその日のうちに解消するのが良いと思いますし、だからこそコンディショニング管理は重要です。自分が経験したことで感じたことや分かることは伝えるようにしていました。

パフォーマンスを求めるビジネスパーソンへ

――和田さんは2024年2月からTENTIALとコンディショニングサポート契約をされていますが、同社やブランドに対してどのようなイメージを持たれていますか。

和田 睡眠時には「BAKUNE」を着用しているのですが、僕にとっては欠かせないアイテムです。触り心地や着心地の良さはもちろん、初めて着用したときの朝の目覚めが忘れられません。それほどよく休めていたんだと思います。それほど深く眠れていたんだと思います。その後、別のパジャマを着た時にしっくりこなくてすぐに2着目を購入して毎日着られるようにしました。それ以来、「BAKUNE」をはじめ、今では掛け布団やシーツなど全身をTENTIALの商品に包まれながら寝ています。

――「BAKUNE」をはじめとする商品の開発には様々なご苦労もあったと思います。

中西 肌触りや着心地などデータで示せない部分をいかに可視化させるかはテーマとしていた部分の一つですね。当社の商品は血行促進が特徴でその効果は研究や検証実験によって科学的根拠を示していて、医療機器のカテゴリにも分類されます。だからこそ作ったものに対して、何度も試験を繰り返したりヘルスケアや医療機器を扱う体制を整えたり、常にマネジメントのアプローチを強化しています。

――TENTIALがブランドのターゲットと定義するビジネスアスリートとはどういった方々なのでしょうか。

中西 私たちはアスリートのコンディショニングや知見、技術を一般のビジネスパーソンにも提供し、健康な状態を維持、向上させ、本来持つポテンシャルを最大限に引き出すことを目指しています。アスリートのように自身の体や健康と向き合い、最高のパフォーマンスを発揮しようと体現するユーザーをビジネスアスリートと表現しているのですが、限られた時間の中でパフォーマンスを発揮するために日々向き合っている方々から信頼されるようなブランドでありたいと考えていますし、商品の満足度や品質に真摯に向き合い、選ばれ続けなければならないという責任も痛感しています。

――今後ブランドとして、寝具を通してかなえたい理想はどんなことでしょうか。

中西 今後もブランド名の由来である「ポテンシャル」に向き合い続けたいと思っています。人間の可能性を引き出すための土台である健康は誰にとっても大切で、その中でも睡眠は最も重要なポイントだと考えています。より良質な睡眠を得るために必要なものを探求し、私たちの商品を通じて可能性を引きあげられる社会にするのが理想です。ただ、まずは我々のブランドを選んでいただけるように継続的に必死に良いものを作ることがベースだと感じています。

侍をコンディショニング面で支える

――3月にはTENTIALがオフィシャルパートナーとしてサポートする侍ジャパンが出場するWBCが開幕します。連覇が期待されますが和田さんはどの選手に注目されていますか。

和田 メジャーリーグの選手がどれだけ出場するのかはまだわかりませんが、間違いなく彼らがカギになってくるでしょうし、日本のファンの皆さんも期待されていると思います。なんとか彼らに出場してもらって頑張ってもらいたいですね。

中西 当社は挑戦されている方たちをいかに支えられるかをテーマにしていますが、侍ジャパンの選手、スタッフの方々は日本を背負い、様々なプレッシャーの中でWBCの戦いに挑みます。ビジネスの観点で置き換えて考えても、日本から世界へ挑戦することがいかに大変か肌で感じているからこそ、侍ジャパンの皆さんにはシンプルにリスペクトの気持ちが大きいです。

――侍ジャパンをサポートすることになった経緯を教えてください。

中西 スポーツの世界で挑戦されている方々に対して何か貢献できることはないかと考えていたところ、和田さんとのご縁もあってアスリートのコンディショニングにとって重要な睡眠の面で貢献できることが多くあるのではないかと考えました。今回、少しでも侍ジャパンの後押しになればという思いでサポートをさせていただくことになりました。

和田 WBCでは日本ラウンドの後にアメリカへ移動しなければいけません。時差や長距離移動を考えるとTENTIALさんのサポートがあるのは心強い限りです。僕がWBCに出場した時もあったらよかったのに……。うらやましいですね。

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