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NBAの驚くべき“得点インフレ”は嘆くべきことなのか? 高得点化の(いくつもの)理由とは…選手の証言「ディフェンスが緩いわけではない」

posted2023/03/21 11:00

 
NBAの驚くべき“得点インフレ”は嘆くべきことなのか? 高得点化の(いくつもの)理由とは…選手の証言「ディフェンスが緩いわけではない」<Number Web> photograph by Getty Images

2月24日のキングスvs.クリッパーズ。両チームあわせて44本の3ポイントシュートは、NBA最多記録に並んだ

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宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

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 今季のNBAでは得点のインフレーションが起きている。たとえば、2月24日のサクラメント・キングス対ロサンゼルス・クリッパーズは176対175でキングスが勝利。両チームの得点合計351点はNBA史上2番目の記録だった。その2日後には、デイミアン・リラード(ポートランド・トレイルブレイザーズ)がNBA史上8番目の高得点、71点をたたき出している。

 1月にはドノバン・ミッチェル(クリーブランド・キャバリアーズ)も71点をあげている。同じシーズンに複数の選手が70点以上を記録したのはNBA史上でも初めてのことだ。6年前にはデビン・ブッカー(フェニックス・サンズ)も70点を記録しており、リーグ史上8人しかいない70点以上をあげた選手のうち、3人が現役選手というのも目を引く。

 高得点の試合や選手を見て「ノーディフェンスの打ち合いだ」と嘆く古参ファンもいる。176点を取ったキングスのヘッドコーチ、マイク・ブラウンも、ディフェンス重視のコーチだけに、冗談半分で「こういう試合が普通になったら頭痛薬の量を増やさなければ」と苦笑する。

高得点化の(いくつもの)理由

 一方で、高得点記録が出たからといって、ディフェンスが緩いわけではないと主張するのは、176点のうち42点を取ったキングスのディアロン・フォックスだ。

「ディフェンスもよく守っていた。それでもこの得点になったのは、どれだけ速いペースでプレーしているか、どれだけ才能がある選手がこのリーグにいるかのあかしだ」

 高得点化の理由は3ポイントシュートの増加、得点効率を重視する戦略の浸透、試合のペース上昇、オフェンスに有利なルールやルール解釈など、いくつかあるが、若いときから個人コーチのもと高いスキルやシュート力を磨いてきた選手が増えたことも大きい。実際、現役の中で70点台をあげられそうな選手はすでに達成した3人以外に何人も思い浮かぶ。同じ時代に得点力がある選手が揃ったことの競争効果もあるだろう。

 リラードが71点を決めた夜、ミッチェルの母は息子に電話し、「デイミアンに71点で並ばれたから、今度は72点取らなくてはだめよ」と発破をかけたという。

 どうやら、NBAの得点インフレはまだ止まらなそうだ。

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