珠玉の1敗BACK NUMBER
篠山竜青――「情けないくらいコテンパン」忘れじの天皇杯ファイナル。
posted2023/03/12 09:00
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph by
AFLO
第一線で活躍するアスリートは、敗戦から何を学ぶのか――。日本バスケットボール界が誇る円熟の司令塔が挙げたのは、Bリーグ発足初年度、天皇杯決勝で喫した大惨敗だった。
【Defeated Game】
2017年1月9日 天皇杯 全日本バスケットボール選手権 決勝
千葉ジェッツ 88-66 川崎ブレイブサンダース
◇
水戸黄門のコスチュームに身を包み、神輿に担がれての入場にアリーナがドッと沸く。脱いだら「スラムダンク」湘北ユニフォームの重ね着でもうひと笑いだ。これは今年1月に水戸で開催されたBリーグオールスターゲームの一幕である。試合になればお祭りムードから一転してガチンコモードになって激しいディフェンスを披露する。楽しませたら、今度は熱くさせる。3得点にとどまるもファン投票によって選ばれるMVPを受賞した男こそ、日本バスケ界きってのエンターテイナーであり、プロフェッショナルである篠山竜青だ。