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渡邊雄太のプレー時間が減る? NBA優勝候補ネッツ“突然の解体劇”の影響を現地記者が報告「ビジネスだと割り切るしかない」
posted2023/02/24 11:00
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph by
Getty Images
「改めてすごい世界や」
2月9日、渡邊雄太が自身のツイッター上で残したそんな呟きは、ブルックリン・ネッツの今シーズンを象徴する一言と言えたのではないか。
前半戦終了間際、ネッツのベンチにいる際、チームメイトの好プレーに毎回立ち上がり、笑顔で声援を送る渡邊の姿は以前とまったく変わらない。ただ、渡邊を取り巻くチーム状況と、自身の役割はかなり大きく変わった。その変化のインパクトは、“シーズン中にこんなことが起こるのか”とファンを驚嘆させるのに十分だったろう。
2月4日のワシントン・ウィザーズ戦で勝った時点で、32勝20敗と十分に上位が狙える好位置につけていたネッツ。しかし、その直後の6日にカイリー・アービング、9日にはケビン・デュラントという2人のスーパースターを相次いでトレードで放出してしまう。2月上旬、契約延長交渉の不調とチーム上層部への不信感からアービングがネッツにトレード要求をしたのをきっかけに、事態は急展開を見せた。
この2つのビッグトレードで合計4人がロースターに加わり、わずか4日間のうちにネッツはほとんど別のチームになったのだった。
“優勝候補”の解体劇「ビジネスと割り切るしか」
「自分でも正直、頭があまり追いついていない部分もあります。(集中するのは)ちょっと難しいですけど、ビジネスだと割り切るしかないです。考えないようにといっても無理なんですけど、こういう世界にいる以上、という感じですかね……」
電撃的な4日間を体験したすべての関係者は、少々困惑したような渡邊の言葉を理解できるはずだ。移籍の盛んなNBAではシーズン中の大型トレードは珍しくはないが、“優勝候補チームの突然の解体劇”はほとんど異例のことだったからだ。
スーパースターを集めて一気に頂点を狙ったネッツの目論みは霧散。シーズン途中に急激な方向転換を余儀なくされることになる。ミケル・ブリッジス、キャメロン・ジョンソン、ドリアン・フィニー=スミスといった複数のウィングがチームに加わり、ローテーションにも大きな変化が生じた。スペンサー・ディンウィディーも含めた新加入選手はすぐにスタメン入りし、ベン・シモンズ、ロイス・オニールといった旧体制から残った選手たちのプレーイングタイムは激減する。
役割が変わった選手の中には渡邊も含まれる。