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”F1界の弟分”ランド・ノリス23歳が語る憧れのアイドルとチャンピオン「一緒にレースできるなんて最高にクール」《独占インタビュー》
posted2023/01/26 17:00
text by
今宮雅子Masako Imamiya
photograph by
Getty Images
Number1065号(2022年12月22日発売)に掲載されたF1ドライバー、ランド・ノリスのインタビュー記事「笑顔を絶やさない天使が悪魔になる日」を特別に無料公開します。
レッドブルの強さばかりが際立った2022年。好敵手だったはずのフェラーリは作戦ミスやトラブルによって自ら後退し、マシンコンセプトに失敗したメルセデスの追い上げもレッドブルを脅かすことはなかった。抜本的な技術規則の変更は白紙の状態からのマシン設計を要求し、彼らトップ3チームの後方にさらに大きな差を生み出した。
結果、3チームの6人以外で表彰台に上ったドライバーはただひとり、マクラーレンのランド・ノリス。ドライバーズ選手権でも7位という結果は、Best of the restという表現に相応しい。チーム力やマシン性能に速さを左右されるF1において、手にしたマシンで最大限の力を尽くしたドライバーへの賞賛の意味を持つ表現だ。
フラストレーションを忘れて、全力で集中
ただし本人にとって、期待したようなシーズンでなかったことに変わりはない。
「フラストレーションがあるのはたしかだよ。僕だけじゃなくて、チーム全体がそうだ。ひとりひとり誰もが、今シーズンはもっとトップに近づきたいと思っていた。でも上手くいかなくて、僕らは去年と比べても少し後退した位置にいる。全員が少し、あるいはかなりのフラストレーションを抱えているかもしれない。でも、F1では起こり得ることだからね。あんなにタイトルを重ねてきたメルセデスだって勝利からずっと離れてしまった。こうした状況では、自分にできるベストを尽くすしかない。僕はそうやって戦ってきたし、チーム全員が同じようにベストを尽くしてきた。フラストレーションを忘れて全力で仕事に集中することが大切なんだ」
だから走行後の彼の言葉は常に、相対的なポジションよりも“やるべき仕事をきちんと行えたか。ベストを尽くせたか”という自分達への評価を中心としていた。