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佐々木朗希は金田正一25歳を超えうるか? “自称180キロ左腕”の全盛期を見た作家「打者を威圧していた」「岡島秀樹にやや似ている」
text by
太田俊明Toshiaki Ota
photograph byJunichi Haruuchi
posted2022/04/27 11:04
佐々木朗希は、令和の時代に突如出現した“日本プロ野球史上最高の投手”なのか?
圧巻の全盛期…「フォームは岡島秀樹にやや似ている」
私は、金田が投げているのをテレビで見たことがある。テレビの普及率が50%を超えたのは61年。私が小学生の時で、その頃わが家にもテレビが来たのだが、投球練習の時に、マウンドよりだいぶ後ろ、セカンドベース方向に下がった位置から速い球を投げ込んで打者を威圧していたのが印象的だった。
フォームは、ボールを持った左手を後方に引き、大きく左肩を下げた沈み込んだ姿勢から一気に上体をスイングさせて腕を振り下ろす。今の投手はもっとスムーズに体重移動させて投げるので似た投手は見当たらないが、巨人、レッドソックスなどで投げた岡島秀樹にやや似ているだろうか。
球種は、本人の自称180キロ、オールスターで対戦した南海ホークスの野村克也によれば「160キロは出ていた」というストレートと、2階から落ちてくると賞された高速カーブの2種類だった。
この「1シーズンの成績」で比較して、金田を上回る投手が果たしているだろうか。
冒頭に挙げた佐々木は、まだシーズンを完走したことがないので残念ながら現時点では比較対象にならない。もし今年、佐々木が沢村賞を取るような活躍をしてくれれば、勝利数、奪三振、勝率、防御率、WHIP、投球回などを手掛かりに全盛期の金田との比較ができるだろう。
58年の金田のように、シーズンを通して打者を圧倒し続けた投手は、歴史上少数だが存在する。例えば、シーズン24勝無敗という神がかり的な数字を残した2013年の東北楽天ゴールデンイーグルスの田中将大のように。
次回は、この年の田中の成績と58年の金田の成績を比較してみよう。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。