- #1
- #2
Number ExBACK NUMBER
「必要ですか? 翔平」WBC侍ジャパン前監督・栗山英樹が明かした大谷翔平招集秘話…会談は「2人で3分だけ」“栗山メモ”に記された大谷への感謝
posted2026/02/26 11:02
WBCで侍ジャパンを世界一に導いた栗山英樹監督。大谷翔平の招集秘話を明かした
text by

金沢隆大Ryuta Kanazawa
photograph by
Nanae Suzuki
侍ジャパン監督就任記者会見
日本代表監督を内々に受諾してからおよそ1か月。
12月2日に栗山は都内のホテルで日本代表監督就任の記者会見に臨んだ。
ネイビーのスーツに同じくネイビーを基調としたレジメンタルタイが、栗山の性格を表すかのようにぎゅっと締められていた。白いマスクをつけてテレビカメラとスチールカメラ、それに大勢の報道陣を前に登場した。栗山はひと言ひと言、慎重に言葉を紡いで決意を述べた。
ADVERTISEMENT
「日の丸をつけることの意味、その重さ、責任を心から感じている。日本の野球を結束させてWBCで優勝したい」
世間の最大の関心事の1つは栗山が監督になることで、当時エンジェルスに所属している投打二刀流の大谷翔平が参戦するのではないかということだった。
インタビュアーからは当然、日本ハムで師弟関係だった愛弟子の招集について質問が飛ぶ。
栗山は質問に質問で返した。
「必要ですか? 翔平」
そして「誰が特別ということはない。勝てる選手、必要な選手を選んでいくだけ。必要ならばどこにでも交渉に行く」と言い切った。選手の選考基準は世界で勝つために必要かどうか。
自らの目で見て、自らの耳で話を聞き、チーム編成をすると栗山は決意した。
ダルビッシュ有との再会
14年ぶりの世界一に向かう中で目的地にたどりつけるかどうかは、先導する監督の手腕と同じくらい選手選考が大きな比重を占める。栗山は翌年のプロ野球の春季キャンプから精力的に選手の視察を行った。WBCで栗山が成し遂げたいことは「野球を生んでくれたアメリカでフルメンバーがそろうアメリカを倒して優勝する」こと。それを達成できる理想のチーム作りに向け、休むことなく国内外を飛び回った。
困難を極めたのはメジャー球団に所属している選手。とりわけ「どうしても日本代表に必要」だと感じていたダルビッシュ有の招聘には高いハードルがあった。
代表メンバー選考が本格的に進んでいく2022年8月。栗山はアメリカに飛んだ。白いTシャツにジャケットとパンツのセットアップという、ふだんよりいくばくかラフな出で立ちだった。目的は日本選手との面会とメジャーの視察。ダルビッシュとは9日にカリフォルニア州、サンディエゴで膝を突き合わせた。日本ハムに所属していたという共通項はあるが、監督と選手として同時期に戦ってはいない。

