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「チームに勢いをもたらす選手」カープ新井監督も認めるドラ1ルーキー平川蓮の“切り込み役”の適性と開幕スタメンの可能性
posted2026/03/02 17:00
守備練習で打球を追う平川。キャンプからオープン戦にかけ非凡な能力を披露している
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前原淳Jun Maehara
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JIJI PRESS
たったひとつのプレーで、広島の新人、平川蓮は周囲に非凡さを感じさせた。
広島の沖縄2次キャンプ3日目となる2月16日に行われたシート打撃。佐藤啓介が栗林良吏の球を捉えた打球はセンター方向へ角度良く飛んだ。快音を残した弾道に、誰もが長打を確信した。センターを守っていた平川は、当初ライト方向に上体をひねって背走。だが、打球には左打者特有のスライス回転がかかり、レフト方向に切れ込む。この場合、普通なら身体の向きをレフト方向に切り返すところだが、平川はそのまま走り続け、体勢を崩さず自然にレフト側へカーブを描きながら背走して打球に追いついた。
難しいプレーを、さも当たり前のように処理してみせた。首脳陣とともにバックネット裏で視察していた、現役時代5度のゴールデングラブ賞受賞の福留孝介氏も思わず「おっ」という驚嘆の声を漏らした。
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驚く周囲をよそに、当の本人はあっけらかんとしていた。
「急にスライスしたので、本能で行きました。切り返していたら間に合わないと思ったので、そのまま行きました」
感覚でプレーするタイプに見える。だがそのプレーには確かな根拠がある。
春季キャンプでセンターだけでなく、ライト、レフトも守った守備能力を赤松真人外野守備走塁コーチは素直に認める。
「センスがある。切り返さなくても、行ける感覚があったんだと思うし、行けちゃう技術もある。感覚は教えてできるものじゃないし、自分の感覚がある」
プロでは打たなければ試合に使ってもらえないが、守れなければレギュラーにはなれない。新井貴浩監督も「あの追い方ひとつ見ても、実戦的なセンスを感じます。守備面でもね」と評した。
打撃でも発揮される非凡な才能
“守備面でも”と強調したように、打撃面でも存在感を放っている。2月15日の対外試合初戦(巨人との練習試合)でいずれも右打席で2安打をマーク。さらに1打点1盗塁と、華々しくデビューを飾った。
対外試合3試合目には、左打席で今年の“チーム1号"となるホームランを右翼席に豪快に放り込んだ。沖縄でのオープン戦3試合を含む対外試合6試合で、28打数13安打で打率.464、3打点2盗塁をマークした。結果以上に打撃内容からもスケールの大きさを感じさせる。
仙台大進学後、投手から野手に転向し、2年秋からスイッチヒッターとなった。俊足を生かして左打ちを始めたのではなく、潜在能力を最大限に発揮させようという指導者の狙いからだった。大学4年時には大学日本代表に選出され、4番を任されるまでに成長した。
