甲子園の風BACK NUMBER
“ドラ1の先輩”と比較されがちでも「小園さんは小園さん、自分は…」 佐々木麟太郎封じの市和歌山エースが強く言い切るワケ
posted2022/03/26 06:00
text by
間淳Jun Aida
photograph by
Kyodo News
どうしても比較されてしまう。
市立和歌山の背番号1。右の本格派投手がマウンドに上がれば、昨秋のドラフトでDeNAから1位指名された小園健太投手の姿が思い浮かぶ。その小園からエースナンバーを引き継いだ米田天翼投手はセンバツ初戦の花巻東(岩手)戦に完投し、チームを勝利に導いた。
試合後のインタビューで言葉に力を込めたのは、小園との類似点を指摘された時だった。
「小園さんは小園さん、自分は自分でいいところがあると思います」
投球フォームやスタイルには重なるところが
米田の身長は175センチと小園より10センチ低い。
体は一回り小さいものの、投球フォームやスタイルには重なる部分がある。ともに直球を武器にしながら、変化球の球種が多い。小園が速いスライダーやカットボール、ツーシームを変化球の軸としていたように、米田も直球に球速が近いスライダーやツーシームを直球と組み合わせる。
「相手の打者が直球のタイミングで打席に入ってくるので、直球に近い変化球を使っています」
変化球は、最も自信のある直球との相性を考えているのだ。
米田が背中を追い続けてきた1学年上の小園は高校時代、投手としての総合力や完成度が高く評価されていた。
最速152キロの直球で打者をねじ伏せるだけではなく、引き出しが多彩だった。制球を重視して球数を抑える投球も、変化球を主体とする投球も自在。登板日の調子や相手によってベストな方法を選べる能力こそが小園の強みであり、完成度が高く「負けない投手」と評されるゆえんだった。ドラフトを前にした段階で、スカウトが「投手としてのセンスを感じさせ、数年後には先発ローテーションに計算できる」と語っていたほどだ。
小園-松川バッテリーでもできなかった優勝を
それでも、米田ら市和歌山ナインには目標とするものがある。
小園、そしてロッテのドラフト1位捕手・松川虎生のバッテリーを擁しても辿り着けなかったセンバツのベスト8、さらには市和歌山史上初の優勝、である。
初戦の相手は今大会注目の打者、佐々木麟太郎内野手を擁する強力打線の花巻東だった。